イタリア人が営む「老舗ラーメン店」の人生ドラマ 西武柳沢「一八亭」ジャンニさんと愛妻のこれまで

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「私がお店に立ち始めた頃は、外国人がラーメン屋で働いていること自体がまだまれでした。その後、日本料理を外国人が手がけることが増えてきて、今や世界は日本ブーム。ラーメンも世界のものになりました。

日本人のシェフがイタリアンを手掛けるのと同じく、外国人がラーメン屋をやることも珍しくなくなりました。当時はここまでラーメンがすごくなるとは思わなかったです」(ジャンニさん)

調理中のジャンニさん
調理中のジャンニさん。熟練の腕を感じさせる、ほれぼれする手際の良さだ(筆者撮影)

外国人だからこそわかる、ラーメンの世界的人気

外国からの日本ツアーが増えて、一気にラーメンが人気になった印象だという。

ジャンニさんが来日した当時は、外国人にとっては「ラーメンって何?」という状態だった。日本と言えばマンガやアニメのイメージで、ジャンニさんもラーメンという食べ物自体知らなかった。

ジャンニさんが「一八亭」に立ち始めた頃、地元の友達にその話をしてもまったく伝わらなかったが、今ではイタリアにも当たり前にラーメンがある。時代が変わったのだ。

コシのある極太麺
セモリナ粉を混ぜて作ったコシのある極太麺。独創的なアイデアは、ジャンニさんのバックボーンから生まれた(筆者撮影)
できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術
『できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「私は日本に来てこの店で初めてラーメンを食べました。今でも忘れませんが、初めて食べたのは辛味噌ラーメン。それ以来、味噌ラーメンが大好きになりました。

毎日が楽しく、大変と思う事もありません。美味しいものを出せばお客さんはまた来てくれます。妻とは『2人で続けられるまで続けよう』と話しています」(ジャンニさん)

知枝さんと出会ったことで、ジャンニさんの人生は変わり、そして一軒の老舗ラーメン店が歴史を絶やさずに、地域で愛され続けることとなった。

外国人がラーメン屋の厨房に立つのが、当たり前の時代になりつつある現在。ジャンニさんの半生は、現在のラーメン業界の一端を象徴する物語でもあるのだ。

調理中のジャンニさ
調理中のジャンニさん。立ち振る舞いに、気品を感じる(筆者撮影)
調理中のジャンニさん
ここでしか食べられない一杯は、夫婦の物語の先に生まれたのだ(筆者撮影)
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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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