意外と知らない、花火のトレンドがこれだ! エメラルドグリーンを知っていますか?

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私が知るかぎり、オレンジは数社しか作れませんし、エメラルドグリーンに至っては、1社しか再現できません。ですから、これらの色の花火を見るには、その業者が担当している大会に出かけなくてはなりません。また、同じ青色といっても火薬と金属化合物の配合比率によってスカイブルーだったりジャパンブルーと呼ばれる、紺に近い濃いめの青だったり、さまざまなのです。

花火の祭典

時間にズレを加えて変化する緻密な美しさ

では、変化ではどうでしょう。日本の花火の特徴である割物(割物)花火。菊や牡丹などが代表的なものです。丸の中に複数の芯があり、二重丸、三重丸だったりして中心から放射状にキレイな円を描きます。今、業界で最もトレンドとなっているのは、時間差やスライド牡丹などと呼ばれるもので、今までにない変化を遂げます。

円を十字に4等分に切ったと想像してください。時間差は中心から放射状に丸く光るのではなく、この四等分に切られたものを部分的に順番に光らせる新しい花火です。最初に右上、次に左下、そして右下に左上などのように、順番は異なれどブロック単位で見えます。ブロックも3等分だったり、内側と外側の円が異なるように分割されることもあります。

スライド牡丹はスイカをイメージしてみてください。縦に黒と緑の帯が順に並んでいます。花火はこの縦のスライドのように右から左、左から右へとパチンコのネオンサインのように光が移動していきます。これは、星と呼ばれる火薬を緻密なほどに計算して、少しずつ発行する時間にズレを加えているのです。

このような技術は数年前からのものですが、花火もつねに進化していることが理解できるようになると、楽しみも倍増することでしょう。

冴木 一馬 ハナビスト

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さえき かずま

山形県鶴岡市出身。花火師の資格をもつハナビスト。報道カメラマンを経て世界各地の花火を記録し、歴史や文化の研究を重ねている。スチール写真に関しては記録を重視し、一貫して多重露光を行わず、ワンシャッターとリアリティにこだわり花火を表現。2002年には1000大会の記録を達成(現在は1200大会を超えた)。世界各地の花火をはじめ、あらゆる花火の写真があり解説を行う。おもな著書に『知って楽しい花火のえほん』(あすなろ書房)、『花火ハンドブック』(文一総合出版)、『花火の本―線香花火から、仕掛花火のスターマインまで―』(淡交社)、『日本列島花火紀行』(山と渓谷社)、『四季の花火を見に行こう』(講談社)など。
 

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