「社員が訴えられた」とき会社はどうするべきか 「懲戒権の行使」がトラブルを招くこともある

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また会社は、被害者を含む自己が雇用する社員に対して安全配慮義務(労働契約法5条)を負っています。

そのため、会社が被害者である社員につき安全配慮を懈怠したと評価ができる場合、たとえば、セクハラが起きないよう職場研修を実施することを怠ったり、セクハラの訴えがあったにもかかわらず即座に防止策を講じなかったりしたというような場合には、被害者に対して労働契約上の債務不履行責任(民法415条)を負うこともあります。

社員の違法・不正行為に対する会社の対応

(1)責任への対応

社員の違法・不正行為が発生した場合、前述した会社の責任のうち、法的責任については、法理(裁判例を含む)に適切に当てはめて対応するよりほかにありません。

事実的、社会的責任については、若干複雑であり、その違法・不正行為がどこまで社会において問題視されているか、さらには問題視されるようなものであるか(会社の社会的信頼を損ねる程度)を考えたうえで措置を講じることとなります。

具体的措置としては、

●違法・不正行為に対する会社の認識・評価を確立すること
●再発防止措置の策定および実施を行なうこと
●それらを必要な範囲で対外的に発信(説明)していくこと

といった内容となることが多いでしょう。

(2)人事的対応

社員の違法・不正行為については、会社はその結果に対して責任を果たすとともに、未来に対して、再発を防ぐ措置をとることが必要です。

その施策としては、大要、

①違法・不正行為を行なった社員に対して、懲戒処分を行ない、会社としてこのような違法・不正行為を許さないという姿勢を示す(懲戒権の行使)

②当該違法・不正行為の内容および策定した今後の再発防止策を会社内で周知・共有する

といったものに整理されます。

この場合、②については、昨今のプライバシー保護の趨勢に鑑み、会社内秩序の保持とのバランスを考えつつ、どこまで違法・不正行為の内容を周知するか(たとえば、具体的人物名などは多くの場合、非開示とされるでしょう)を検討する必要があります。

それ以上に、会社内において新たなトラブルが生じ得るのが①です。以下の項で詳述します。

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