「集団的自衛権」が、安倍首相の命取りになる 強引に押し進めるほど、国民は引いていく

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日本国民は首相の政治の進め方に疑問を呈している。彼は国会を9月27日まで延長した。そうすれば参議院で承認を得られなかった場合、衆議院で3分の2の賛成票を得れば法案を強引に通すことができるだろうというもくろみがある。こうした中、首相に近い議員が報道を脅す事態が起き、当初彼はそれを擁護したが、後にその姿勢を変えざるをえなくなった。

強引さは命取りになる

強引な策略を使って法案を可決すると、合法性が疑わしくなるだろう。今後、特に自衛隊員が死亡するような大きな危険がある場合、実際に集団的自衛権を行使するのは難しくなりかねない。

首相は、この不人気な安全保障法案を通すため、国会議員にごり押しすることに政治生命を懸けようとしている。これにより、経済改革で支持の得られにくい方策を通すために同様の圧力をかけるのが難しくなるだろう。

首相の人気が非常に高かったときは、自民党議員が彼に反対を唱えるのは政治的自殺行為であった。だが、首相の支持率が低下し続けるなら、この陣笠議員たちへの支配力を失うだろう。

週刊東洋経済2015年7月25日号

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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