「健康食品」で失敗しないために知っておきたい事 「紅麹サプリ」で増える死者数、検討会の設置も
今回の健康被害は、紅麹原料そのものではなく、製造過程で問題が起きたとされている。このことを踏まえ、消費者庁は「機能性表示食品を巡る検討会」で制度を見直している。
検討会のメンバーでもある日本栄養士会の阿部絹子常務理事は、被害拡大の背景の1つに、これまで健康問題に関する届け出が多くなかった点を挙げる。
「機能性表示食品を含め、すべての食品において食品との因果関係が疑われる健康被害があった場合、医療機関は保健所に報告することになっています。しかし、これまで消費者は『自分が取っている食品で、健康被害を受けているかもしれないこと』を医師に相談しなかったり、医師も診断のときに摂取している健康食品を聞かなかったりしていたと思います」
機能性表示食品の届け出事業者は、健康被害を確認した場合、速やかに消費者庁と保健所に報告するようガイドラインで定められているが、現時点では法的な義務はない。そのため今後は、健康被害の報告を義務化していく方針だ。
また、安全な食品を製造するための食品衛生法と、消費者を守るためにどう正しく伝えるかの食品表示法の両方の改正についても議論が進められているという。
今回の問題は、事業者に対しては製造管理や報告の徹底などが求められる重大事案となったが、消費者も本当に必要なものかを見極める「消費者リテラシー」を高めるきっかけにもなりそうだ。
機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性が表示されている。
今回取材した専門家も「取らないほうがいい」と言っているわけではない。むしろ「その他健康食品(トクホや機能性表示食品以外の、健康効果を謳ったもの)」のほうが、安全性や機能性の科学的根拠は不確で、危ないと指摘する。
トクホ・機能性表示食品の正しい使い方
では、どうすれば機能性表示食品を健康維持のために活用できるのか。
まずは自身の健康状態をチェックし、バランスのいい食事や適度な運動など、生活習慣を見直したい。
「機能性表示食品が“免罪符”となり、『たくさん食べてもOK』というような、生活習慣が肯定されるのは本末転倒です。生活習慣を整えたうえで、あくまでも足りない部分を補う目的で取るべきです」(久代氏)
少なくとも、病気の治療で薬を飲んでいる人は、必ず医師や薬剤師に相談をしたほうがいい。
昨今、健康食品について助言できる「アドバイザリースタッフ」がいる薬局が出てきている。また、47都道府県に「栄養ケア・ステーション」もある。「医師に聞くのが怖い、ためらわれる」という人は、まずはこれらの場所で相談してみたらいいそうだ。
さらに、40歳以上は特定健診・特定保健指導を受ければ、そのときに管理栄養士に聞くことも可能だ。
「専門家に機能性表示食品が機能としてどう働くのかを相談し、ちゃんと医療機関で治療したほうがいいとか、それほど数値が悪くないから食生活で頑張ってみましょうかと言われると思います。決して自己判断で健康食品を過信して、摂取量以上に取らないことが大切です」(阿部氏)
【2024年7月16日19時00分追記】初筆時、2ページ目の図版に誤りがあったため、新しい図版に差し替えました。
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