在宅勤務のスタイルになったのは、リーマンショック時に企業が規模を縮小したためだ。家で働くというと“気楽”にできるのではととらえられがちだが、ひとりで働くことは孤独だし、自分自身でモチベーションを保ち続けなければならず、簡単なことではない。しかし今は、子どものそばにいるこの働き方が生活にマッチしているという。生活スタイルの変化に合わせ、昇進を含め仕事量の調整もしていきたいと考えている。
人と違っていい。私が選んだことだから
子どもを抱えた彼女たちが活躍している理由として、勤務時間や勤務体系がフレキシブルであることが大きく寄与していることは間違いない。それ以上に注目したいのは、この2人がこのような働き方をしながら成果を出していることである。実際、シェリルさんは企業内でトップの売上成績を誇っている。だから、会社側も彼女たちのパフォーマンスを上げる努力を認めているし、尊重もするのだろう。
「直属の上司の理解と信頼を得ることはとても大切」とシェリルさん。仕事のパフォーマンスを通じて上司から得た信頼が、彼女たちのロイヤルティを高める、というサイクルができているようだ。基本的なことだが、目の前にあるやるべきことを、最大限の努力で一生懸命取り組んでいる。ミワさんもシェリルさんも、自分のやり方に信念を持っているのも共通しているポイント。シェリルさんは、子どもの幼稚園の友達には「2人のママがいる」と言われている。ナニーがお世話をしているからだ。それでもいい、とシェリルさんは言う。
「いちばん大切なことは、子どもが愛されている、安心できると感じていることだと思うし、それは私の選んだことだから」
ミワさんは「人がしているからこうしなくてはではなく、どんなやり方が自分に合っているのかを考えないといけない。自分と違うことをしている人を批判することは簡単だけど、そこを理解し合って助け合うということがワーキングマザーにとって大事だと思う」と、第2子出産をきっかけにそう考えられるようになったと明かす。
「自分を犠牲にしている」意識を持たない
個人の個性や考え方を尊重する米国社会は、日本より自分の意思を貫きやすいのかもしれない。しかし、どこであっても誰が何と言おうとも、自分の決断や信念を大切にすべきだし、自分に自信を持って働くことが必要だ。そんな彼女たちをサポートしているご主人はいちばんの理解者であり、最も心強いパートナーだ。2人ともシアトル近郊に親戚がいないこともあり、家族という単位を大切にする。何を決めるのも必ず夫婦で話し合う。夫婦で意見を出し合い、「折衷案を2人で探す」ということができている。「2人で」育児をするためだ。
取り巻く環境、企業風土や社会の背景には違いがあるので、一概に2人の働きかたを日本で働くワーキングマザーにあてはめることはできない。しかし、米国企業で働く彼女たちも、日本人のワーキングマザーと同じように、毎日悩みながら家事、育児、仕事の両立に奮闘している。日本人のワーキングマザーと違う点があるとすれば、彼女たちは「自分は何かを犠牲にしている」という意識を持つのではなく、「どうすれば現状はもっとよくなるか」を考えて行動に移していることだ。そして、そのための情報収集へのアンテナは高く張っている。
自分の家事、育児、仕事のワークライフバランスをもっと意識してみよう。どうすれば現状を改善できるかを考え続ける過程で、自分なりの解や折衷案がきっと見つかるはずだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら