就職活動に活用されるCSR情報《組織・人を強くするCSR 第4回》


たとえば、文化放送キャリアパートナーズの「就職ブランドランキング調査(前半)」と、東洋経済のCSR企業ランキング(金融機関や未上場企業は対象外)を比較すると、ともに上位30社にランクインしているのは、ソニー、三菱商事、資生堂の3社のみである。

この乖離は、学生がイメージや華やかさで志望企業を選ぶ傾向にあることが最大の理由だ。そのため泥臭いイメージのある製造業などは上位に来にくい。さらに、CSRを福利厚生の充実と社会貢献だけでとらえており、それ以外の情報にはあまり注意を払っていないということも影響していそうだ。

一方で企業側にも自社の活動やその背景にある企業の考え方、価値観などが十分学生に伝わっていないという問題がある。

学生は従業員候補としてだけでなく、顧客や将来の取引先などになる。企業は「学生」をステークホルダーの1つとして意識すべきである。就職活動にも活用できる「CSR報告書」を目指すなら企業の何を伝えるのかといった見せ方などにももっと工夫を凝らしたほうがよい。

「CSR報告書やウェブサイトに方針や活動を載せておけば、ステークホルダーに伝わる・理解してもらえる」と考えるのでは不十分だ。CSR報告書ならではのネガティブ情報もただ単に開示するだけでなく、今後の対策や方針も合わせて開示しなければ、企業側の真意は伝わらない。

他のステークホルダーとのコミュニケーションと同じように学生に対しても、どのように伝えるか・伝わるかを考えていくことは非常に重要なことだ。双方向のコミュニケーションがCSRの基本だが、それは採用活動でもまったく同じである。

(この連載はクレイグ・コンサルティングのコンサルタントが執筆します)

株式会社クレイグ・コンサルティング
2004年設立。ISO26000対応などのCSRコンサルティングを中心に、経営戦略、M&A、事業再生、人事コンサルティングなど幅広い分野でのコンサルティングを手掛ける。 http://www.craig.co.jp/

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • グローバルアイ
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT