就職活動に活用されるCSR情報《組織・人を強くするCSR 第4回》

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就職活動にCSR情報を活かす学生たち

さて、昨年度の大卒者内定率は91.0%と過去最低を記録した。こうした厳しい環境の中、近年、学生の就業観は多様化してきている。

現在は不景気ということもあり「業界大手」や「○年連続増収増益」といった、いわゆる“安定している”企業を選ぶ傾向が強いが、一方で「働きがい」や「社会への貢献」、「環境への配慮」などを重視して会社選びをする学生も増えている。

こうした学生たちが近年、注目しているのがCSR情報である。現在、大学の就職支援センターには企業のCSR報告書がズラリと並んでいる。一昔前までは企業研究の第一歩として会社案内を読むことが一般的であったが、NECなどは会社案内を廃止し、CSR報告書をその代用とするようになった。

また、リコーやサントリーホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、コニカミノルタホールディングスなどは、ウェブサイトの採用情報ページで、関連情報として自社のCSR活動を紹介している。

今や学生たちはCSR報告書を熟読し、教育制度やキャリアパス、出産・育児に対するサポート態勢、女性管理職比率などを確認してから面接を受ける。

例えば、企業が「多様な人材を活用して、皆が生き生きと働ける職場づくりを推進しています」とうたっていても、実際の社員定着率や女性管理職比率が低ければ、それが「建前」であると判断されるし、逆にこれらの数字が高ければ「働きやすい」との評価につながるのである。

企業の情報開示には工夫が必要

ただ、学生側にもCSRを一面的にしか見ていないという問題がある。東洋経済が毎年、CSR企業ランキングを発表しているが、このランキングと学生の就職希望のランキングでは企業の顔ぶれに大きな違いがある。

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