「子どもから信頼される親」がしている話の聞き方 能動的な聞き方ならば子どもは心を開きやすい
「なまけている」と感じるのは、あくまでもお母さんの主観です。ひょっとしたら、その子はお母さんが買い物に行っている間に宿題をすませてしまったのかもしれません。この番組が終わったら部屋の掃除をしようと思っているところかもしれません。
それなのに「またゴロゴロしてテレビばかり見て!」「早く掃除してしまいなさい」などと叱られたら、ムッとして反抗的な態度をとりたくなるのではないでしょうか。そういう出来事が重なって、お母さんのなかに「この子はなまけ者だ、反抗的だ」という固定観念が生まれたのかもしれません。
多くの親は、いつも子どもの行動を見ているつもりでいながら、実際にはきちんと見ていないことも多いようです。子どものイヤな面、困った面ばかりに注目し、いいところは見過ごしている可能性がありそうです。
子どもの性格や習性を決めつけていない?
お母さん方の話を聞いていると、客観的に観察することもなしに子どもの性格や習性を決めつけている場合が多いように思えるのです。しかし、子どもは親の考えが及ぶ範囲内だけで生きているわけではありません。親には想像もつかないことを考えていることもあります。
あるお母さんと中学3年生の子どもの会話をご紹介しましょう。塾帰りの車の中、14歳の次男・浩二くんとの会話です。お母さんは、浩二くんに対して、食が細く、好き嫌いが多い子だという印象を持っていました。
浩二くん 今日のごはん、何?
お母さん 鍋よ。
浩二くん えー、オレ、鍋嫌い!
お母さん 好き嫌いを言わないの。
浩二くん だって、鍋にしたら、面倒くさい。
お母さん 何が面倒くさいの? 食べるのが面倒くさいの?
浩二くん だって、食べたあと、オレが全部後片づけしないといけない。
お母さん 後片づけがイヤだと思っているのね。
浩二くん だってねー、塾から帰って疲れているのに、後片づけ全部しないといけないんだよ。
お母さん そうか。塾で疲れているから、後片づけがイヤなのね。
浩二くん そうだよ。それにねー、誰も手伝ってくれなかったんだよ。(前回、鍋をしたとき、浩二くんがひとりで後片づけをした)
お母さん ひとりで後片づけをするのがイヤだったのね。