この大規模な派兵が実現すれば、ロシア軍にとって実際、どれだけ大きな戦力になるのか。プーチン氏自身が最近明らかにしたところでは、ウクライナ侵攻に参加している兵力は約70万人規模。これを見ても、10万人規模という派兵がいかに大きいかがわかるだろう。
戦闘部隊化するか否かで、具体的な軍事的影響度は変わってくるだろうが、仮に最終的に戦闘に参加すれば、相当の戦力になることは明らかだ。
軍事的のみならず、外交的にもウクライナや米欧にとって、ロ朝の事実上の軍事同盟化は大きな圧迫材料となるだろう。
北朝鮮派兵はゲームチェンジャーか
つまりプーチン氏には、この北朝鮮の派兵が戦場で今後、一種のゲームチェンジャーになると映り、冒頭の強気な言動につながったと筆者はみる。
北朝鮮からの派兵があれば、ウクライナが今後初めてF16戦闘機を投入し、反転攻勢に乗り出しても、軍事力が向上したロシア軍は対抗できると踏んでいるのだろう。結果的に戦争がより長期化、消耗戦化して、米欧のウクライナ支援が弱まると期待していると筆者はみる。
元々ロシア軍は2024年に入り、兵力不足が深刻化している。春以降、あるあると言われていた大規模攻勢がついにできなかった一因も兵力不足だ。現在は、志願兵などを強引に契約兵に切り替えて、除隊も許さず前線に配置しっぱなしにし、また外国人を高い給料で釣って契約兵として投入しているのが現状だ。
おまけに、戦死者増大をいとわず突撃命令を繰り返す非人道的な作戦の結果、東部ドネツク州への作戦だけで約10万人の死傷者を出したと言われている。それでも、プーチン氏は国民からの厭戦感情の噴出を恐れて、2022年9月に実施した部分動員に続く、第2次国民動員を避け続けている。
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