すでに2023年9月に金総書記がロシア極東を訪れた際に、プーチン氏は北朝鮮に対し155ミリ砲弾の提供だけでなく、実は部隊派遣も要請していた。ただこの時は、金総書記は約500万個といわれる砲弾供与に応じたものの、部隊派遣については「難しい」と対応したという。
しかし、今回のプーチン氏の訪朝時には「工兵なら、送る」と回答したという。金総書記としては、今回の部隊派兵の応諾は、初めから、プーチン訪朝時のお土産にするつもりだったのだろう。
この「お土産」への見返りとして、ロシアは相当の軍事技術の提供に応じたとみられるが、具体的にはその内容は不明だ。
ウクライナと朝鮮半島の同心円化
いずれにしても、今回の北朝鮮による派兵は地政学的には何を意味するのか。指摘するまでもなく、ウクライナ情勢が朝鮮半島の対立構造とほぼ「同心円化」することを意味する。
今回、北朝鮮の派兵が実現すれば、韓国もウクライナ側への直接的な武器供与に初めて踏み切るだろう。北朝鮮の派兵を失敗させ、金正恩政権の権威を失墜させることを狙うのは必至だろう。
これに対し、ロシアは韓国に対しウクライナに武器供与すれば、対抗措置を取ると警告している。その場合、ロシアと韓国の関係が緊張するのは避けられないだろう。北朝鮮も韓国もウクライナでの戦局に大きくコミットすることになる。逆に言えば、双方とも戦局次第で大きな政治的ダメージを追うリスクも背負うことになる。
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