有料会員限定

北朝鮮、アメリカとの首脳会談や核実験も視野に 小此木政夫氏に聞く朝鮮半島の将来(下)

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
2024年6月19日、北朝鮮の平壌で、歓迎式典に出席するロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記(右)。ロシアのプーチン大統領は2日間の日程で北朝鮮を訪問した(写真:Contributor/Getty Images)

特集「戒厳令ショック 激動の朝鮮半島の将来」の他の記事を読む

世界の歯車があちこちできしんでいる。それは、日本の隣・朝鮮半島にある2つの国でも起きている。核・ミサイルの高度化を強力に進め、ウクライナ戦争のためにロシアへ軍隊をも派遣した北朝鮮。2024年末、突如として大統領が「非常戒厳」(戒厳令)を布告し、国内政治に大混乱を生じさせた韓国。予測不可能な事態を繰り返す2つの隣国を、今後どうみるか。日本を代表する朝鮮半島問題専門家であり、慶応義塾大学名誉教授の小此木政夫氏に聞いた。前回の韓国に続き、今回は北朝鮮について聞く。
(前回「政治で『妥協』を許さない韓国のナショナリズム」から続く)

スターリン時代に回帰する北朝鮮

――その北朝鮮ですが、2024年にロシアとの関係を強く深めました。

2024年6月、ロシアのプーチン大統領が24年ぶりに平壌を訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記との間に「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。

おこのぎ・まさお/1945年群馬県生まれ。慶応義塾大学法学部卒、同大大学院博士課程単位取得退学。同大教授、法学部長などを務める。『朝鮮分断の起源:独立と統一の相克』『朝鮮戦争―米国の介入過程』など著書多数(写真・今井康一)

この条約で注目すべきことは、冷戦時代の1961年7月にモスクワを訪問した北朝鮮の金日成(キム・イルソン)首相がソ連のフルシチョフ首相と締結したソ朝「友好協力相互援助条約」と同じく、「双方のうち、いずれか一方が個別の国家または複数の国家から武力攻撃を受けて戦争状態に陥った場合、他方は遅滞なく自国が保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」(第4条)との相互援助条項が存在していることだ。

他方、11月1日のラブロフ外相と崔善姫(チェ・ソンヒ)外相の「戦略対話」を前に、ロシア・ヤロスラブリ駅には1949年3月の金日成首相の最初のソ連公式訪問を記念する扁額が掲げられた。

このときの首脳会談で、スターリンと金日成は南朝鮮の武力統一について率直に意見を交換した。ロシアと北朝鮮の関係はスターリン時代に回帰しつつあるのだろう。

関連記事
トピックボードAD