私が「受験競争」を子どもたちに勧める理由 精神科医から見た「建設的な競争」

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よほどその子が天才的で、将来のイチローや錦織選手のようになれそうだということでなければ、何かで勝てた体験で得た自信を通じて、勉強であれ、何かの資格を得ることであれ、あるいは語学力やIT技術を徹底的に磨くことであれ、食える力を身に着けさせることが現実的だろう。

優越性を持つための方法論

私はかねてより、受験勉強を勧めている。それは、勝てる人数が多く、勝てる確率が高いことと、比較的、方法論が確立しているからだ。

たとえば、東大の合格者数は3000人を超えるし、京大だって似たような数だ。また全国の医学部の定員は9000人を超えるし、これに旧帝大、一橋、東京工大、あるいは早慶の就職人気の高い学部などを合わせると4万人くらいはいわゆる受験に勝つことで食っていける層と言える。

甲子園のベンチに入れる数が春夏合わせて(重複を考えると)1000人程度、プロ野球界に就職できる人間が100人程度、レギュラーになれるのがそのうちの10分の1とされているから、これらがいかに広き門かがわかる。

かつては、勉強の世界で勝ち組になっても、収入面でプロ野球のトップ選手に勝てるようになるのは社長クラスになる50代まで待たないといけなかったのだが、今は外資系やIT企業で初任給1000万円超えということも珍しくない。3年目で億を超えるなんて話もときどき聞く。起業に成功すれば数十億の世界である。

少子化によって、ブランドにこだわらなければ公立高校や大学には勉強しなくても入れる時代になった。受験業界における競争相手が減っていることを考えると、参加すればかなり勝ち目がある戦いだと言える。

私の時代であれば、東大に入るのに有利な勉強法を知ることができるのは、たとえば私の在籍した灘高校など一部の学校に限られる面があった。しかし、今は私のように受験勉強法の本を書く人が増えたり、あるいは、予備校の分析力が上がって、有利なやり方を得るのも難しくなくなっている。

スポーツの場合は、たとえば、自己流の素振りで何千回ふってもうまくならないというのが常識だ。コーチについて、やり方を習ってから練習しないとうまくならない。

ところが勉強の場合は、ほとんどの子どもが自己流の非効率なやり方で勉強して、結果が出ないので自信をなくして、脱落していく。そういう子に点の取れるやり方を教えてあげるだけで、かなりの確率で勝つことができるようになる。

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