なぜ、東京都知事選挙では政策が重要視されないのか。それは、東京には問題がないからである。困っていないからである。
さすがにそれは言いすぎだが、東京以外の地域に比べれば圧倒的に困っていないし、政策を必要とする問題が少ないのだ。問題はもちろんあるし、困っている人も大勢いる。しかし、それは都知事による政治的な出番ではなく、細かい個々の問題を丁寧に解決していくことが重要であるのだ。
例えば、一応、都知事選の争点になるかもと言われている神宮外苑の再開発問題であるが、これはまったく重要でないどころか、そもそも争点の土俵に乗らないのではないか。
なぜなら、再開発は民間が事業主体で、東京都ではないからである。明治神宮という一組織が、今後の運営に関して資金を多少捻出する必要があるために、再開発のときに樹木を数百本伐採するというだけのことだ。
東京都は現在事業者に樹木保全策を求めているが、法的な拘束力はないとされる。太陽光パネル設置を無理に推進することで、日本中で何百万本もの樹木が伐採され、山が切り崩されているのはある意味無視しているのに、東京都心の木が数百本切られるとなると大騒ぎになる。
これでは、ポスター騒ぎと本質的にはあまり変わらず、騒ぐために騒いでいるようなものだ。かつ、東京の問題は日本の問題として盛り上がるからやっているのである。つまり、論点になる政策はないに等しい。
「少子化対策」よりは「子育て・若者支援」に
あえて言えば、都知事選の話題に一瞬なりかけたのは、少子化問題だ。少子化が進む日本で、合計特殊出生率がついに1を割って0.99となってしまった全国最低の東京で、少子化対策を競い合うとメディアははやし立てた。
しかし、実際に各候補者が提案している政策は、どちらかというと出生数を増やす政策というよりは子育て支援や若者支援である。これは三重の意味で正しい。
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