朝ドラ「虎に翼」後半戦がますます面白くなる根拠 「パイオニアとしての成功物語」からどう変わる?
また、第57話では窃盗を繰り返す少年たちのリーダー・道男(和田庵)を見た寅子の母・はる(石田ゆり子)が、「ああいう子が日本中にいるのよね。この寒い中、外で眠っているのよね」「寅子からずっと話を聞いていたのに、あの子を見るまでずっと他人事だった。子どもたちを置いて亡くなった親御さんたちはさぞ無念でしょうね」と語るシーンがありました。
そのわずか2話後に、はるが亡くなったことも、このセリフが子どもたちに向き合う寅子にとってのきっかけだったことを物語っています。
実際の家庭裁判所が発足した当時、掲げられた標語は「家庭に光を 少年に愛を」でした。寅子のモデルである三淵嘉子さんは5000人を超える少年少女と対峙。彼らの話に傾聴し、犯罪を起こした背景をあげつつ、涙ながらに更生を訴えかけて本人や親などを涙ぐませるなど、定年退官するまでその審判に力を注いだことで知られています。
ちなみに三淵さんは、家庭裁判所に係属したボランティア団体「少年友の会」の設立にも尽力しました。その他でも各地で講演活動を行って理解を促すなど、少年少女の再非行防止や更生をサポートする体制を整えたそうです。そんな姿を好感度の高い伊藤沙莉さんが寅子として演じるのですから、ますます視聴者の共感が加速する可能性は高いでしょう。
「骨太な成功物語」から「感動の人情劇」へ
また、27日放送の第64話でラジオ出演した寅子が、「ただ私はご婦人方をかよわいとは思っておりません。裁判所を訪れるご婦人は世の中の不条理なこと、つらいこと、悲しいことと戦ってきた、戦おうとしてきた、戦いたかった方たちです」「法律が変わり、家庭裁判所ができてやっと戦うことができる。報われることができる。誰かの犠牲にならずに済むようになった」「私は女性たちが自ら自分の幸せをつかみ取ってほしいと思っていますし、そのお手伝いができたらなと常々思っております」と熱っぽく語るシーンがありました。
特にこの週では、母として家族の問題に悩む盟友の大庭梅子(平岩紙)と、友人で義姉の花江(森田望智)のエピソードが描かれてきただけに、この語りは寄り添うような優しさを感じさせるとともに、今後の物語を暗示しているように見えました。
とりわけ今後は、明律大学女子法科の仲間である山田よね(土居志央梨)、崔香淑(ハ・ヨンス)、桜川涼子(桜井ユキ)らのエピソードは見どころの1つになるでしょう。もちろんその他でも、寅子が女性の人生をサポートしていくエピソードがはさまれることになりそうです。
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