「インド映画ブーム」火付け役語る"映画の目利き" ロッタちゃんも仕掛けた江戸木純氏の発掘力
――ミニシアターブームの時代にやっていた映画会社で、今でもまだ継続してやっているところも少なくなってきたように思うのですが。
みんなうまくいくと会社を大きくしようとするんですよ。とかくうまくいくと、どんどん値段の高い映画に手をつけたりして、それで赤字になって。会社を駄目にしちゃうことが多いんですけど、でもうちなんかは自分と妻しかいない会社なんで。やれる範囲でしかやってないし、大きくしていこうという気持ちもない。それでよかったんだと思うんです。
映画会社って基本的に10本やったら1本ぐらいしか当たらない世界なので。1本のヒットが他の9本をフォローする。昔はマイナスをビデオ化権でカバーできたけど、今はそれもできなくなった。この仕事はかなりリスクを伴うものなんです。
でもうちはそういうことはしないようにしてきたというか。自社で権利まで持っている作品もありますけど、最近は配給の委託の部分だけ受けたりとか、宣伝プロデュースという、企画宣伝の部分だけを受ける仕事とか。そういうふうにシフトしていっているので続けられているという感じですね。
だから他社と競争して買わなきゃいけないような作品はあえてやらない。黙ってたら誰もやらないようなもの、というだけでも十分に数があったので。それでこういうラインナップになっている、という感じですね。
ロッタちゃんとの出会い
――ミニシアターブームの頃に恵比寿ガーデンシネマで大ヒットを記録した『ロッタちゃん はじめてのおつかい』と、その前作にあたる『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』は2024年3月に2Kリマスター版で公開されました。
それもやはり20数年前。北欧の子ども映画のレベルが非常に高くて、面白い映画がいっぱいある、ということをそのときに知りました。
そのときはこれも全然日本に入ってきていなくて。たまに『長くつ下のピッピ』とかが自主上映で公開されていたりはしていたんですが。そういう中で、ロッタちゃんっていう女の子が、ハサミを持ってセーターを破るビジュアルを観て、なんじゃこりゃと思って、観てみたら面白いんですよね。
ただ当時のビデオレンタルマーケットには合わない。でも作品はいいからやりたいなと思っていたんですけど、そんな時に当時の恵比寿ガーデンシネマの人に「こういうのがあるんですけどどうですかね?」と聞いたら「いいですね」となり。それでやることが決まった。
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