まもなく上場「タイミー」やって見えた本質的課題 ガチの隙間時間ではできず、微妙に使い勝手に難?

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タイミーの条件の写真
「現役の飲食店従事者」でありつつ、「個人店はNG」という参加条件。名刺で素性を確認されることもある(筆者撮影)

というのは、タイミーの仕事一覧を見ているとわかるのだが、求人募集の条件に「タイミーでのワーク〇回以上の方限定」とか、「タイミーでこの仕事と同じ仕事を経験したことのある方のみ」など、かなり条件面での制約があることが多いのだ。

タイミーの成功を受けて、「メルカリ ハロ」をはじめとして、後発のスポットバイトのシステムも増えてきた。すると、中には「プロ スキマワーカー」的な人も登場し始める(ちなみにタイミーには、働いた時間に応じてプロフィールに称号が与えられる。これはレベルアップみたいで楽しい)。

当然のことだが、企業としては、単発の人材とはいえ、せっかくなら慣れている人を雇いたい、と思うだろう。だから、前述したような条件を付ける。そうなると、ある種の先行者利益で、後発でスポットバイトを始めた人は、なかなかよい仕事に就けなくなる。

実際、私が最初にタイミーを始めたときは、なかなかいい仕事が見つからなかった。とりあえず謎のアンケート調査に応える仕事を何件かやって実績稼ぎをし、そこから色々な職種にトライした。

こうした一種の先行者利益は、スポットワークが広がるにつれ、ますます顕著になってくるかもしれない。そして、それが、スポットワーク業界への新規参入を阻む要因になるかもしれないのである。

「副業」としての参入は、結構難しい?

もちろん、こういう問題があっても、タイミー自体は会員数を増やしているのだからいいじゃないか、という声もあると思う。もちろん、基本的に私も、現状に大きな問題があるとは思わない。ただし、タイミーが上場し、これからも成長していかなければならない、となったとき、これらの問題は、結構な足かせになるような気もする。

というのも、現状のシステムだと、「本業がある人が、副業的に、スキマ時間で仕事に取り組む」という働き方が、なかなかに難しいからだ。タイミーのホームページでは、会社員などが夜の2〜3時間や休日で副業的に仕事に取り組んで…なんて事例も紹介されているが、やはりその日の思いつきで働くのは難しく、前からスケジュールを組んでおく必要がある。

でも、会社員にとってそういう計画を組むのは意外と面倒だ(自分もかなり面倒に感じた)。また、自宅が都心から離れている場合、本業の後タイミーで働き、帰宅……はなかなか体力的にも厳しいものがある(あと、そもそも論としてフルタイムで働いたあとに、居酒屋の皿洗いを4時間やるのって普通に無理ですよね?という話でもある)。

私自身は、本業のほとんどが、文章を書いたり、編集をしたりと時間に拘束されない働き方をしているから、まだ時間を見つけて何度かタイミーはできたものの、これがオフィスで日中は働かざるを得ない、となるとなかなか厳しい。

次ページタイミーの普及は今後の改善次第か
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