"テレビ化"進む「広告付き動画配信」のヤバさ ビジネスモデルもコンテンツも旧型に接近
「『私たちはテレビをつくりかえる。というわけで、君たちのしょぼいCMはもう必要ない』と動画配信企業が言ったのを覚えているかい?」。人気トーク番組『レイトナイト』の司会者セス・マイヤーズは、先月開催されたイベントの1つで広告主にそう語りかけた。「あれから数年後、『SHOGUN 将軍』の全エピソードが、『ワッパー、ワッパー、ダブルワッパー!』(のCM)で中断されるようになった!」。
不満を抱えた視聴者の1人は最近、SNSで次のようにいら立ちをぶちまけた。「プライムビデオにお金を払ってCMをたくさん見るってワケ分からん。うっとうしくなってきた」。
ネットフリックスとアマゾンの担当者はコメントを控えた。
視聴体験の変化は避けられなかったのかもしれない。過去10年にわたり、ネットフリックスに対抗するため動画配信サービスの導入を急いできたメディア各社は、加入者の獲得を最優先させてきた。
ただ、1つ問題があった。利益だ。
番組が従来のテレビに似てきた理由
各社は赤字を垂れ流し、ウォール街は不満を募らせるようになった。それで、経営陣は時計の針を巻き戻すことになったのだ。医療ドラマや法廷もの、シチュエーション・コメディといった低コストで制作できる定番番組へのシフトが進んでいるのも、そのためだ。
視聴者にサブスク契約をキャンセルする気をできるだけ起こさせないよう、複数のサービスを抱き合わせる動きも進んでいる(例えば、ディズニープラス、フールー、HBOマックスは、これらをセットで提供する合同契約プランで提携する予定)。そして、収入を拡大する方法の1つとして、CMの採用も増えている。
それでも視聴者はまだ、より高額のプランを選ぶことで広告を大部分回避できる。アマゾンを含め、ほとんどの動画配信サービスには現在も広告なしプランがあり、加入者は例えば月額3ドルの追加料金を支払えば広告を非表示にできる。アップルTVプラスは今も、広告なしプランのみの提供を続けている。