"テレビ化"進む「広告付き動画配信」のヤバさ ビジネスモデルもコンテンツも旧型に接近
「登録すればCMは過去のものになる」という約束でストリーミングテレビ(動画配信)が登場したのは、それほど前のことではない。
ネットフリックスが動画配信市場で優位に立った理由のひとつは、広告なしの体験で顧客を引きつけたことだった。アマゾン・プライムビデオ、ディズニープラス、HBOマックスもこれに追随した。
だが、それは長続きしなかった。
プライムビデオでは広告がデフォルト
動画配信サービスでは、広告を回避するのが一段と難しくなっている。ネットフリックス、ディズニープラス、ピーコック、パラマウントプラス、HBOマックスは次から次へと、わずかに低いサブスクリプション料金と引き換えにコマーシャルを流すようになった。
アマゾンでは広告の表示がデフォルトだ。そして、これらのストリーミングサービスのスポーツ中継には、料金に関係なくCMが組み込まれるようになっている。
広告の重要性は先月、アマゾンとネットフリックスの両社が、いわゆるアップフロンツ(メディア企業が広告主を引きつけようと数十年前からニューヨークで開催しているテレビ業界のイベント)で初めて対面形式のプレゼンを行ったことからも、はっきりと読みとれる。
ネットフリックスは『ブリジャートン家』のエグゼクティブプロデューサーで『グレイズ・アナトミー』も手がけたションダ・ライムズを派遣し、自社サービスの売り込みを行った。アマゾンのイベントにはリース・ウィザースプーンやジェイク・ギレンホールといった芸能人が起用され、アリシア・キーズのライブパフォーマンスも行われた。