「授業中に奇声」底辺校生徒追い詰めた"家庭の闇" 若手教師が2つの低偏差値校の指導で見た光景

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「一度彼らからの信用を得られると、多くの子は、豊かなコミュニケーション能力を持っていて、真剣に頑張っている子たちなのだと気づけるようになりました」と当時を振り返った浜岡さん。

一方で、こうした指導の日々の多くは、「生徒が反抗する気持ちもわかるからこそ、メンタル的にも大変だったし、自分自身も傷つく部分がありました」とそのつらさを話してくれました。

勤務年数を重ねていくと、膨大な業務を抱えて時間がない中で、いじめにつながらないよう、生徒との相談の時間をどう確保するか、といった悩みを抱えるようになります。

学級崩壊にもならないよう、頭を悩ませる日々の中で気づいたのが、「教員も生徒のことを信じること」「生徒を見下さないこと」の2点でした。

生徒の意見をまずは聞くよう心がけた

「教員は生徒たちが学校の授業を素直に聞くものだと思い込み、生徒にも聞くことを求めます。しかし、教員が自分たちの主張を通すだけの姿勢は生徒にも伝わるのです。だからこそ私は、『まず与える』ことを心がけました。

例えば、生徒が問題行動を起こしたときに1対1で面談をするのですが、1回は生徒の意見がたとえ間違っていても、受け入れたうえで話を聞くようにしたのです。一方的に、抑えつけられて指導されてきた子が多かったので、人格を肯定し、話を聞いてあげる機会を設けるようにしました。

彼らは普段、溜まっていることがたくさんあるけど、相談できる大人が周りにいないのです。相手を尊重しつつ、僕自身が大事に思っていることを伝えたら、『教員とこんなに真剣に話ができると思わなかった』と言われたことが結構ありました。

お互いに自分の考えを伝えるだけで、『コミュ力高いっすね!先生!』と言ってもらえるので、今まで学生時代に人と話せなかった自分自身を思い出すと不思議な気持ちがします。そうした姿勢を続けていると、生徒も教員の話を聞くようになってくれます」

仕事の大変さに四苦八苦しながらも、彼らと過ごした日々を「素敵なものだなと思った」と振り返る浜岡さん。

ところがこの高校で5年目の勤務を終えたころ、同じ県内にある偏差値38の高校への異動辞令が下されます。

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