中国BYD「シール」正統派EVスポーツセダンの真価 奇抜さより真面目さが際立つ第3弾モデル登場

✎ 1〜 ✎ 114 ✎ 115 ✎ 116 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
試乗車のタイヤ&ホイール
試乗車のタイヤ&ホイール(写真:三木宏章)

カーブでは少ないロールこそ感じるが、車体はステアリングをきった方向へとすぐに向き替えを開始する。これにはダブル(デュアル)ピニオンギヤ式の電動パワーステアリング効果が含まれるものの、終始スッと動き、サラリとした身のこなしは気持ちが良い。ちなみに装着タイヤは静粛性能を重視した「コンチネンタルEcoContact6 Q」で、サイズは235/45 R19、直径は694.6mmだ。

ツインモーター仕様は、メカニカル式の油圧可変ダンパーシステムを搭載する。いわゆるダンパー内部のオリフィスを動かして減衰力を連続的に調整する機構だ。昔から、どの自動車メーカーでも使われている方式ながら、シールでは車体剛性が高いこと、サスペンションの取り付け剛性が高いことなどが加わり、足もとがいつでもスッと動く。しかも、動くだけじゃなくてしっかり止まる。

クーペのようなシルエットが印象的なシールのサイドビュー
クーペのようなシルエットが印象的なシールのサイドビュー(写真:三木宏章)

こうした味のある走行性能はクルマの基本構造変革から得られた。ATTO 3やドルフィンでは「CTP」(Cell To Pack)と呼ぶ「ブレードセル+バッテリーパック+車体」の構造様式を採用してきたが、シールではこれを「CTB」(Cell To Body)に変更。「ブレードセル+車体」に改め、同時にバッテリートップカバーをボディフロア一体型にした。

さらに、「ねじり剛性」(ボディの強さ指標のひとつ)を40000 Nm/degと最新のスポーツモデル並に高めたボディを新規に開発。ここにCTBを組み合わせ、さらに前出の油圧可変ダンパーシステムをドッキングすることで、シール特有の世界観を走行性能の上から演出したのだ。

シングルモーター仕様の走りは?

シングルモーター仕様の試乗シーン
シングルモーター仕様の試乗シーン(写真:三木宏章)

続いて試乗したシングルモーター仕様も、ツインモーター仕様と同じボディ構造でCTBを採用するが油圧可変ダンパーシステムではなく、減衰力固定式の油圧ダンパーになる。そのため、スカイフック的なツインモーターの走り味はないが、それでもスッと動き、さらりとした身のこなしは感じられる。

次ページ想像以上の完成度に驚いたが、その中で気になる点もある
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事