さっそく、乗り込む。シールの第一印象は非常によかった。シックな色使いで上質なタッチを随所に感じさせたからだ。これまでATTO 3やドルフィンに試乗する機会を得ていたが、明らかに演出過剰。これが遊び心なんだと理解はできるものの、ポップすぎる色合いやHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース:人間と機械の間で情報をやり取りする部分やシステムの総称)特性を度外視したかのようなスイッチの配置、さらにはギターの弦を模したドアの加飾はやりすぎた感があった。
一転、シールのインテリアには欧州プレミアムブランドとは異なるBYDならではの独自色が見いだせた。ダッシュパネルやドアパネルにはバックスキン調の生地をあしらいながら、立体的な面構成と横方向に伸びる複数のラインを組み合わせ、広さと奥行きを無理なく演出している。
天井にはパノラミックガラスルーフが標準で装備されるが、このガラス面積がとても広くて開放感にあふれる。試しに後席に座ってみると、景色が頭上のすぐ上を流れていく。SUVやミニバンにもこうしたガラスルーフは見受けられるが、天井が低めでガラスとの距離が近いセダンボディでの体験はとても新鮮。そのパノラミックガラスルーフには全面を覆うソフトタイプで軽量の遮光ネットが備わり、使わない際にはトランクルーム(前50L、後400L)に折りたたんで収納できる。
予想どおりの過激な加速力、サスセッティングも秀逸
走行パフォーマンスこそシール最大の強みだ。BEVだから速い、もはやこれは当たり前。ツインモーター仕様の0→100㎞/h加速3.8秒(シングルモーター仕様は5.9秒)と立派だ。シールではそうした数値で図られる性能はもとより、独特の走行感覚がしっかり造り込まれている。
それは市街地をゆっくり走らせているだけでも感じられ、カーブの連続する山道になると一層、強い個性として認識できた。具体的には、40~50㎞/h程度で走らせている際の振動の収束がものすごく早く、鉛直方向の振幅などは瞬間的に収まる。これは初めての感覚だ。
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