「女だから出世」は後ろめたいことですか? 女であることからは、一生逃げられない

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「あなたが女性である」というのは、れっきとした事実なのですから、女性であることも含めて、あなたの能力に期待をされていると考えてみてはどうでしょうか。万が一、女性ということが、人事の決め手になったのだとしても、それもあなたに授けられたラッキーアイテムくらいに思っていればいいのでは? 

これまでのビジネス人生で、女性だから得したことも損したこともいろいろあったはずです。私も営業担当だったころ、ある銀行を担当することになって、初めてのごあいさつに伺ったら、「女性の営業担当ですか~、斬新ですね~」などと露骨に嫌な顔をされ、「もっと高い学歴の男性営業担当に替えてほしい」と上司にすぐ連絡が入ったことがありました。

一方で、別の価格に厳しい顧客に、「女性との価格交渉は気が引けてやりにくいなぁ」と言われて、一発満額回答をいただき、「オレのときは軟禁状態だったのに!」と男性先輩から驚かれたこともあります。前者のときは、「まだ何もしていないのに、なんじゃそれ!」と腹も立ちましたし、後者のときは「よかった~。何時間も価格交渉なんてしなくて済んで」とほっとしました。

要は成果を出すことが大事

「女性だから」ということから、私は逃げられない。それもこれも含めて、トータルで私自身の実力だと思おう、と私はずっと自分に言い聞かせてきました。あなたも、これからの長いビジネス人生できっと同じように、「女性だから」という目に遭うことは間違いない。いいことも悪いことも含めてです。それも織り込んでしまえるようになれば、逆に性別を自分の特徴ととらえて、前向きに仕事ができるようになる、と私は思います。

さらに言うと、「管理職抜擢」なんていうのは、「あがり」でもなんでもありません。塁に出た、くらいのもんです。抜擢されて、どのような管理職となり、どのような仕事をしていくのか、これから先のことのほうが百万倍も大事です。その成長のチャンスがあなたにめぐってきたのですから、やっかむやからが出てくるのは、当然と言えば当然。あなたが変に反応せずに普通に努力し続けていれば、あなたの耳に入ってくるくらいに強くやっかんでいる人は、「あの人、小さい……」「ひがんでるよね」とささやかれることになるでしょう。

「女性だから抜擢」との声にどうしても打ち勝ちたいなら、経済合理性で勝負です! 要は成果を出すこと。

女性であることを含めた、あなたのこれまでに自信を持って、今度は管理職として成果にこだわっていくことです。周囲の雑音に一喜一憂している暇はありませんよ。「女性だから…」という声が聞こえてきたら、「女性だからチャンスがあるんだとしたら、私って、なんてラッキー!」と思い、「こんなに注目されちゃって、成果だしたら余計に目立っちゃうわ~」くらいに能天気に考えるクセをつけましょう。これから先にいろいろと起こるビジネスでの出来事に、能天気になれる力が役立つ日が必ずあると、私は思います。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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