常に明るく、媚びはしないけれど細やかな配慮ができる香澄さん。気が多いほうではないが若い頃から「モテなかったことはない」という。健司さんからもすぐにプロポーズされて20歳のときに結婚。長女と次女を授かった。
しかし、香澄さんにまめだった健司さんは他の女性にもまめだった。ネットゲームつながりで知り合った女性とすぐに浮気を始めたのだ。
「バーチャルだからええやん、と言い訳をされました。実際に会っているのだからバーチャルじゃないですよね(笑)。浮気は癖だから直りません。すぐに別れようと思いましたが、私の親から『子どもがかわいそう』と言われて離婚できませんでした」
浮気相手と同棲を始めた健司さんは養育費を払わないのになぜか離婚しようとはしない。事情を知らない娘たちは自分たちには優しい父親に懐いており、両親が別れることに反対。ようやく離婚を認めてくれたのは今から5年ほど前のことだ。
本気で好きになれる人はもう現れないと思っていた
「ずっと離れて暮らしていたし、お金も入れてくれないので、私にも男の人はいました。(恋人が)途切れることはなかったと思います」
その一人が6年間も付き合って結婚も考えた5歳年上の靖男さん(仮名)だった。出会いは今度も酒場である。
「普通の居酒屋ですよ。私が女友だちと飲んでいたら、話しかけてきたんです。『お前はオレと付き合う。いずれ!』と言われました(笑)。何だコイツ、気持ち悪!と思って適当にあしらいましたが、その居酒屋でちょくちょく顔を合わせるようになったんです」
何度か会ううちに「強引なところ」も好きになったと振り返る香澄さん。靖男さんは香澄さんにも娘たちにもひたすら優しかった。
「結婚したかったですよ……。でも、好き嫌いとは違う次元の問題がありました」
それは職人として働く靖男さんが異常に喧嘩好きだったことだ。口喧嘩ではない。見知らぬ相手と殴り合うストリートファイトである。
「怪我をさせたり物を壊したりして留置所に入れられるレベルです。私にはとても受け入れられませんでした。『次に同じことをしたら、もうないよ』と言ったのに、やっぱり喧嘩して……。性分なので直せないと彼は言っていました。約束は約束だからと別れた後は、一度も連絡がありません。ちょっとぐらい連絡をくれてもいいのにと寂しく思ったぐらいです。男気はあり過ぎるほどある人でした」
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