「付き合い始めたことを娘たちには言っていなかったので、すごく驚いていました。当然ですよね(笑)。娘たちは私の再婚を歓迎してくれて彼にも『おめでとうございます』と挨拶をしてくれました。7月頃に入籍しようと思っていますが、その日も長女カップルと合わせるかもしれません。私と長女に刺激されたのか、次女まで『私も結婚する!』と言い出しています(笑)」
明るく責任感もある香澄さんは大手企業の管理職として働きながら2人の娘を育ててきた。ただし、香澄さんは淳一さんとの結婚後は大阪で働く彼に合わせるつもりで、兵庫の勤務先からは退職の準備を始めている。
「後任が育っていないのでなかなか簡単には辞められませんが、最終的には結婚生活を優先させてもらいます。彼からは『いてくれるだけでいい。家事もしなくていい。テレビを観ていればいい』なんて言ってもらっていますが、私は性格的に専業主婦は無理です。どんな仕事でもいいので扶養の範囲内で働くつもりです」
求めるのは“誠実さと愛情”
淳一さんには大学生の真面目な一人息子がいる。将来的に一緒になりそうな「可愛らしい彼女ちゃん」もいる、と香澄さん。淳一さんの自宅はいずれ息子夫婦に譲る方針だが、香澄さんはまったく異論はない。
「子育ても終わったので、これから財産が欲しいとは思いません。いざとなれば自分が暮らしていくぶんぐらいは自分で稼げます。そう言えば、国立大学の法学部卒の彼からは最初の頃に『僕の学歴とかは聞かないんですか?』と不思議がられました。私は大学名や社名にも興味がありません」
香澄さんが求めるのは誠実さと愛情だ。淳一さんは香澄さんに「べた惚れ」状態で、一緒にいるときは人目を気にせずに「大好き」と言い続けているらしい。香澄さんは恥ずかしいけれど嬉しい。
「無条件で私を好きだと言ってくれている彼ですが、浮気だけはしないでくれとくぎを刺されています。どんなに好きな気持ちがある相手でも浮気をされた瞬間に無理になってしまう、と。前の奥さんと結婚する前に、当時の彼女さんとそういうことがあったみたいです。私は他の人とも恋愛するような元気はないので問題ありません(笑)」
香澄さんを約30年ぶりの結婚に導いたのは彼女の明朗な性格だが、その明るさの底には強さと潔さがあると筆者は感じた。他人には迷惑をかけずにできるだけ優しくする、何があっても前向きに生きていく、といった姿勢が光彩を放っているだろう。
そうした香澄さんに、淳一さんはなりふり構わぬ行動に出て幸せを得た。「外見ではなく中身を重視する」とはこういうことを指すのだと思う。
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