各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、その奥にある、経営哲学や歴史、ホスピタリティまでを紐解いていく連載「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」。
第13回は前編に続き、カプセルホテル『ナインアワーズ』が睡眠解析サービスと表裏一体で進める睡眠事業を解説。ホテル業態の新たな可能性を探る。
インバウンド景気に沸くホテル業界。多くのホテルが好稼働を記録し、新規ブランドの開業も相次いでいる。だが、ホテル事業には特有の弱点がある。初期投資が大きく、景気の動向に大きく左右されがちなのだ。他事業に乗り出すのも一手だが、リスクを抱える恐れも……。
コロナ禍は、そんな業態ゆえの弱さが出た時期だった。2020年4月には、高級カプセルホテルで知られたファーストキャビン(東京)が自己破産するなど、多くのカプセルホテルが廃業に追い込まれた。
そんななかにあって、コロナを乗り越えたのが「ナインアワーズ」だ。ポイントは「睡眠事業」と、「持たない経営」にあった。
「睡眠データ」を売る、したたかなカプセルホテル会社
睡眠解析サービスで収集したデータを活用した「睡眠事業」を行っているナインアワーズ。睡眠解析サービスとは、宿泊者の眠りの深さ、いびきの音量、無呼吸になった回数と時間などを収集し、解析したレポートを提供するサービスだ。
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