「大谷豪邸報道」「ポツンと一軒家」に覚える"不安" 上空から自宅を映すことの危険性を日本人は知らない

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番組ではまず、日本地図の衛星写真で紹介する家をフォーカスする。その際、住所までは出さずとも、都道府県名を明示したうえで、どのエリアなのかがはっきりとわかるような見え方になっている。番組では衛星写真で自宅を俯瞰した写真は必須だ。

それによって、大谷選手の自宅と同じく、家の構造はおろか、車の有無や台数によって、おおよその家族構成も把握できる。さらには、住んでいる人や周辺の人にもインタビューをしているため、家族構成が確実にわかるだけではなく、住人がどのような仕事をしているのか、生活ぶりはどうなのかといったところまで把握できてしまう。

もちろん、日本の豊かな自然に囲まれた中で暮らす人々の話は興味深いし、出会ったことのない景色や工夫された暮らしぶりなど、この番組だからこそ見ることができる面白みが満載だ。ただ、住所がある程度割れてしまう状況の中で、自宅を上空から映すことは危険と言わざるをえない。

今年4月末から5月にかけて、関東周辺の山間部で相次いだ連続強盗事件。まさに「ポツンと一軒家」ではないが、山あいで住宅が少ないエリアが狙われた。5月15日には、ベトナム人の男2名が栃木県の住宅で起こった強盗事件に関わったとして逮捕され、そのほかの事件についても関与を警察が調べている。

大谷選手はどうしたら…

話を大谷選手に戻そう。すでに報じられてしまった大谷選手の場合、どうしたらいいのか。家を引っ越す以外には、身も蓋もない話だが、防犯のためには予算をつけられるだけつける以外にはない。

もしかしたらすでに常駐のガードマンを雇っているかもしれないが、一番安全なのは、24時間の生活密着型のボディーガードを雇うことだ。これは、自宅外に設置するガードマンボックスや門の前に立つガードマンではなく、自宅の中にも入る、まさに大谷選手の生活すべてに張り付くボディーガードだ。

金銭的なコストや心理的なハードルも高いが、安全に代えられるものはない。そうした大きな負担を強いるようなことを、今回の報道ではしてしまったのだ。

松丸 俊彦 セキュリティコンサルタント

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まつまる としひこ / Toshihiko Matsumaru

警視庁に23年在籍。2002年日韓共催W杯サッカー大会においてロンドン警視庁の特別捜査官と共にフーリガン対策に従事。在南アフリカ日本大使館に領事として3年間勤務。南アフリカ全9州の警察本部長と個別に面会して日本大使館と現地警察との連絡体制を確立し、2010年南アフリカW杯サッカー大会における邦人援護計画を作成。警視庁復帰後、主に防諜対策(カウンターインテリジェンス)及び在京大使館のセキュリティアドバイザーを担当。全155大使館を延べ1,200回以上訪問し、大使館及び大使公邸に対するセキュリティアセスメント(警備診断)、特命全権大使を始めとする外交官に対するセキュリティブリーフィングを実施した。

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