僕は少しだけ考えて、「いいよ、問題ない」と答えた。
そして僕のバンドのウェブサイトに、彼のCDを販売するためのページをつくった。作業には2時間ほどかかった。
ほどなくして、別の友人2人からもCDを売ってほしいと頼まれた。さらに、知らない人からも電話がかかってくるようになった。
「友達のデイブから聞いたんだけど、君のウェブサイトで俺のCDを売ってくれるんだって?」というふうに。
電話とメールがひっきりなしに来るようになった。僕は無償で、全員のためにCD販売用のページをつくってあげた。
ミュージック界のオンラインのリーダーだった2人が、メーリングリストで僕のウェブサイトのことを紹介してくれた(「Gajoob」のブライアン・ベーカーと、デビッド・フーパーだ。ありがとう!)。
おかげで、さらに50人のミュージシャンから依頼があった。
夢の流通契約を書き出してみた
でも、これはもともと、何人かの友人のために好意でしていたことのはずだった。
こうして、友人たちのCDを売るのを手伝うための作業に、かなりの時間が必要になってきた。そして僕は、図らずも自分がビジネスを始めてしまったことに気づいた。
でも、ビジネスなんてしたくはなかった!
僕はすでに、フルタイムのミュージシャンとして生計を立てるという、夢に描いてきた生活を送っていたのだから。その邪魔になるようなことはしたくなかった。
そこで、非現実的なほど理想的なやり方をすれば、ビジネスが大きくなりすぎることはないだろうと考えた。ビジネスを大きくしたくはなかった。小さいままでいいと思っていた。
僕はミュージシャンの視点に立って「夢の流通契約」を考え、書き出してみた。そのユートピアのような完璧な世界では、流通業者は以下を叶えてくれる。
1 毎週、支払いをしてくれる。
2 自分のCDを買ってくれた顧客全員の氏名と住所を教えてくれる(それはミュージシャンのファンであって、流通業者のファンではない)。
3 CDが売れなくても、システムから追い出されない(5年に1枚しか売れなくても、売り続けてくれる)。
4 ウェブサイト上で有料の優先表示はしない(資金の余裕がない人に不公平だから)。
以上!
これが僕の使命になった。僕はそれをとても気に入った。これは意義のある趣味になるだろう。
僕はそれを「CDベイビー(CDBaby)」と名付け、友人たちのCDをこのウェブサイトを通じて売り始めた。
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