ゲーム開発のプロに学ぶプロジェクト管理のコツ PM初心者は「目的と手段を混同」して迷走する
新米リーダー時代の後悔
ーー数々のプロジェクトでリーダーを経験されてきた下田さんですが、リーダーになりたての頃の失敗で今も記憶に残っているものは何ですか?
失敗はたくさんあるのですが、中でも最も後悔しているものは、同僚のアイデアを潰してしまったことですね。
私は新卒で福岡のゲーム会社に入社し、プロデューサー・ディレクター・プランナーとしてPCゲームの企画開発に携わっていました。その失敗をしたのは、まさしく、リーダーになりたての頃。プロデューサーとして、メンバーたちのアイデアをとりまとめる役割を担っていました。
そこで挙がったアイデアの中に、非常に画期的なものがあったんです。ただプロデューサーとしての経験が浅く、絶対に失敗したくないと考えていた私は、分かりやすいゲームを作ろうとして、アイデアの根幹となる尖った部分をすべて削る判断をしました。その方が、より大衆に受け入れられる人気ゲームになると考えていたんです。
結果、完成したタイトルは同ジャンルのゲームの中に埋もれてしまいました。
もちろん、アイデアが尖れば尖ったほど良いゲームができるとは限りません。ですがあの時は、どうすれば斬新なアイデアがユーザーに伝わるのかを考えようとしませんでした。新米リーダーの頃に経験した、今でも忘れられない手痛い失敗です。
ーーその頃のご自身にアドバイスするとしたら、どんな言葉を送りますか。
「プロジェクトの目的をしっかり突き詰めろ」ですかね。そうすることで、アイデアの効果的なブラッシュアップができたはずです。