アラサー女子「なんとなく不安」の正体とは? 脳科学の専門家に相談してみた

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編集者A:確かに。現状の平和を壊したくない、だけど変化しなくてはいけないのもわかっている、そのどっちつかずの状態がつらいのかもしれません。そのテストステロンって女性でも増やせるのでしょうか?

米山:もちろん。女性でも、社会的に活躍している人はテストステロンの値が高いと言われています。ほどよい緊張や刺激があると増えやすいので、思い切ってブランド物のバッグやスーツを手に入れたり、素敵な服を颯爽と着こなして、周囲の注目を集めているという自意識を高めたりするだけでもいいですよ。意識して、自分から変化を起こしてみてください。

米山公啓(よねやま きみひろ)●1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。1998年より本格的な著作活動を開始し、医学ミステリー、小説、エッセイ、医療実用書など、現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修などでも活躍中。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事

編集者A:ただ、この先どうしたいのかもよくわからないんです。今の仕事は楽しいけれども、仕事中心の人生もさみしい気がするし、いつかは結婚して子どももほしいけれど、今から必死に婚活にいそしむのも何だか違う気がして。

米山:何をやりたいのかわからないなら、何をしているときがいちばん楽しいかを知る、それに尽きます。いろいろ体験する中で、自分が夢中になれるものを探していくのです。

人間はどこかで、徹底的に何かに没頭する経験が必要です。時間を忘れるくらいに何かひとつのことにのめり込んでいくと、右脳が活性化し、自分自身も鍛えられ、やがて違う世界が見えてきます。

もちろん、自分が楽しいと思えることでなければ、そこまで徹底して続けることができません。見つけられない場合は、とにかく目の前の仕事に没頭してみるのもひとつです。必死に取り組んでいるうちに、何か新しい発見があるかもしれないし、プライベートでも、楽しいと思うことがあれば熱中してみるのもいいですね。

編集者A:たとえば食べ歩きとか、趣味に関わることでもいいんですか。

『もの忘れを90%防ぐ法: 今すぐできる「頭の若返り法」』(三笠書房)脳を「気持ちよくリラックス」させる。「関連づけて」覚える―プライミング効果。3段階で記憶する―人の顔と名前を一致させる法。「7つだけ覚える」を習慣にする。「文字・数字」でなく「映像・画像」で考える―まず1つ、やってみよう―。「記憶力を強くする」コツ。

米山:もしかしたら、あちこち食べ歩いているうちに、すばらしいシェフと出会って一緒にお店を開くことになったり、そこで知り合った人とのご縁で、グルメライターとして独立するかもしれません。

人とのご縁は、思いがけないところで結びつくものです。実用書が中心だった私が小説を書き始めたのは、たまたま友人の病院を受診していた出版社の方が、そこに置いてあった私のエッセイを手に取ったのがきっかけでした。

自分自身で新しい道に飛び込む決断をするのはハードルが高いかもしれませんが、人脈を広げていけば、背中を押してくれる人に出会えたりするのです。

編集者A:まずは行動を変えてみることですね。

米山:楽しいと思えることを突き詰めて、今まで行かなかった場所に行ってみる。新しい人との出会いを大切に育てていく。そんなふうに行動を変えていけば、脳も活性化され良いホルモンがたくさん分泌される。「なんとなく不安」なんて消えていきますよ。

小さな変化が脳を活性化させ、自分を変える

女性の脳は、本来現状満足型。「今の平和を壊したくない」とリスクを取ることを避けてしまいがちです。しかし、特に30歳近くのバリバリ仕事をしている女性は仕事においてもプライベートにおいても選択肢が多く、現状維持するのは難しい。とはいえ、自分で決断することもできず、それがストレスとなり「なんとなく不安」に陥るのではないでしょうか。

打ち壊すために大切なのは、行動を変えること。ささやかなことでもいいので、自ら変化を起こすのです。

ある日突然人生の大転換点がやってくるようなことは、実はほとんどありません。たまたま出掛けた先で出会った人の一言で道が開けるなど、ちょっとした変化が新しい世界へとつながっていく。その変化を重ねていく中で、自分がやりたいことや心から楽しいと思うことに出合えるはずです。過度に気負う必要はありません、たとえ今見つからなくても、30代、40代をかけてじっくり探していけばいいのですから。

意欲や快感と深く関わりを持つドーパミンは、一般的には年齢とともに減少していきます。しかし、自分の楽しみを知っている人は、いくつになってもドーパミンを出し続けることができることがわかっています。まずは今日、いつもと違う道を通って帰ってみてはどうでしょうか。

 
取材・文/瀬戸友子、撮影/洞澤佐智子(CROSSOVER)
 
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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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