「40年遺骨収集続ける男」から考える"弔いの意味" 『骨を掘る男』の奥間勝也監督にインタビュー
――骨は小さい欠片が多いのに、具志堅さんは、これは「腕のこの部分だ」などと言い当てていくんですね。
具志堅さんの頭の中には、骨の図が入っているんだと思います。僕も最初、具志堅さんがこれは「何々の骨だ」とすぐに言うので、なんでわかるんですか? と聞いていました。
――「これは乳歯だね」と手にする場面があります。乳歯の配列図を出して、照らし合わせていましたよね。
あれは具志堅さんがポケットに入れているものです。でも、歯ぐらいですね。そういうふうに骨の図を常備していたのは。
プライベートな部分が出てこない
━━私は具志堅さんのことを、この映画で初めて知ったのですが、映画ではプライベートな生活シーンが一切ないことで、逆に具志堅さんに対して強い興味を抱きました。
プライベートな部分も、撮影はしていたのです。例えば、慰霊の日(6月23日)に向けた看板を、具志堅さんが自宅の駐車場で作っているところとか。これは、DNA鑑定をして、遺骨を遺族のもとに返そうということを訴える看板でした。編集過程で落としましたが、当初は入れていたんですよね。
ただ、すでにテレビでもこうした話は紹介されており、具志堅さんが書いた本もある。すでに知られている話をなぞるよりも、いまの具志堅さんを撮りたいと思ったのでカットしました。
――プライベートな部分がない一方、まだ骨が埋もれている可能性が高い鉱山の土砂を、辺野古の新基地の埋め立てに使うのを見直してほしいと、具志堅さんが県庁前でハンガーストライキをする場面も追っています。その前の道路を右翼の街宣車が「コラあ、何やっとンじゃ!!」と怒号をあげて横切っていく。国のために亡くなった人たちの遺骨収集を率先して進めようとするのは「愛国」の1つでもあると思うのですが。あの場面は、非常に興味深いシーンでした。
あれは、たまたま撮れた映像ですね。具志堅さんの主張は、新基地に反対というよりも、遺骨が埋まっている土を埋め立てに使っていいんですか? というものです。道義的に歪められることが嫌な人なんですよね。
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