ヤバすぎる「マンション高騰」生み出した「真犯人」 外国人ではない!「問題の本質」「防衛策」も紹介

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インフレへの流れが予想される中、「住宅を買うのは怖い」と考える人も多いだろう。

しかし、ここは「視点」を変えればよい。

インフレが加速しても、金利負担を制御できれば、住宅ローンもインフレが返してくれることになる。

つまり、金利や物価が上昇するインフレ下で不動産価格が上がれば、当然借金の実質的な負担は軽減されるのだ。

そう考えれば、過度に住宅購入を怖がる必要はない(ただし、物件を選ぶ目は必要)。

不動産は終の住処でも、一生縛られるものでもない。

金融商品のひとつである。

また、こうした時代には、別記事(「住宅は2度買え!」億ション時代こそ正しい深い訳)で解説した「新しい自宅の買い方」をしないと、大きな損失を負いかねない

ぜひ、「不動産に対する常識」をアップデートしてほしい。

この先、「不動産バブルの行方」はどうなる?

政府・日銀がマイナス金利等を武器にして作り出した今回の不動産バブルには、今後、調整が起きるだろう。

日本はすでに20年以上もの長期にわたり、金融緩和を続けてきた。

長短の金利はゼロ金利、マイナス金利へと向かい、日銀は世界で最も金利が低い世界を演出した。

そこから脱する利上げの動きは、日本は主要国で最も遅い。

訪日客の増加や外国人の購入による資産市場の好調を維持したいという点を考えると、2023年3月に政策金利を0%以上にした日銀は「できるだけ2024年も利上げをしたくない、そして円安のままにしておきたい」のが本音だ。

現在の不動産と株のバブルは、日銀が過激な金融政策で演出した帰結だが、超高級不動産の価格と株価を上げている買い手の半数程度は外国人であり、彼らは円安効果によって「安いから」買っているにすぎない。

「日銀バブル」だと判断されれば、資金が流れ込んだ不動産や株の価格は調整を受けるというわけだ。

山下 努 不動産ジャーナリスト

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やました つとむ

朝日新聞経済記者、朝日新聞不動産業務室員を経て、現在はフリーの経済ジャーナリスト・経済アナリスト。1986年朝日新聞社入社、大阪経済部、東京経済部、『ヘラルド朝日』、『朝日ウイークリー』、「朝日新聞オピニオン」、『AERA』編集部、不動産業務室などに在籍。2023年朝日新聞社退社。不動産業(ゼネコン、土地、住宅)については旧建設省記者クラブ、国土交通省記者クラブ、朝日新聞不動産業務室などで30年以上の取材・調査経験を誇る。不動産をはじめとする資本市場の分析と世代会計、文化財保護への造詣が深く、執筆した不動産関連の記事・調査レポートは1000本以上に及ぶ。

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