中国の輸出産業に「コンテナ不足」の悪夢再来か コンテナのリース料が1年前の3倍超に急騰

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輸出大国の中国は、海外から大量の空きコンテナを回収する必要がある。写真はコンテナ取扱量が中国最大の上海港(上海国際港務集団のウェブサイトより)

中国の輸出産業が、製品出荷用のコンテナの入手難に悩んでいる。

「5月以降、輸出貨物の急増とともに、海運会社からの空きコンテナの供給が追いつかなくなった。出荷を急いでいる輸出業者は、40フィートコンテナ1本あたり1000ドル(約15万6800円)を超えるリース料で探さなければならない状況だ」

財新記者の取材に応じた複数の国際物流業者は、そう口をそろえた。上述のリース料は1年前の3倍を超える水準だ。

不足しているのはコンテナだけではない。中国と海外を結ぶコンテナ船の輸送力も逼迫しており、一部では投機的な動きも現れ始めた。例えば、ある物流業者は輸出用コンテナのワンウェイ(片道)リース料として、顧客に対して2000ドル(約31万3600円)以上を提示しているという。

需給バランスの脆さが露呈

輸出大国である中国は、貨物を詰めて海外に送り出すコンテナの数が、海外から入ってくる数よりもはるかに多い。そんな中、物流業界は大量の空きコンテナを海外から中国に回送すると同時に、中国で新たに製造したコンテナも調達することで、需給バランスを維持している。

だが、需給バランス調整の手段が限られているため、何らかのきっかけで不均衡が生じると、修正するのは容易ではない。今回のコンテナ不足に関しては、発端は2023年10月に始まった「ガザ危機」だった。

中東情勢の緊迫により、中国とヨーロッパを結ぶコンテナ船のほとんどが(スエズ運河経由から)喜望峰回りへの航路変更を余儀なくされ、輸送にかかる日数が伸びた。その影響で、コンテナ船に積まれて“海上を漂う”コンテナが増加したタイミングに、中国の輸出回復が重なり、空きコンテナがにわかに足りなくなったのだ。

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