需給バランスの乱れによるコンテナ不足は、新型コロナウイルスの世界的大流行の最中にも生じた。今回は当時のような大混乱の再来になるのだろうか。
「目下の空きコンテナの不足は、コロナ禍の時とは様相が異なる」。そう指摘するのは、国際物流のワンストップサービスを手がける涅浦頓供応鏈科技の幹部の陸春栄氏だ。
陸氏の解説によれば、コロナ禍の時期には世界各地のコンテナ港で荷さばきが遅延し、大量のコンテナがヤードに滞留。空きコンテナを中国に戻すこと自体が困難だった。それに比べて、現在はコンテナ港の稼働に問題はなく、空きコンテナの中国への回送に支障はないという。
「今回のコンテナ不足は(一時的な需給のミスマッチによるもので)、9月頃には改善の兆しが見えてくるだろう」。陸氏はそう予想する。
コンテナの総量は余り気味
コンテナの供給サイドの視点で見ると、全世界に存在するコンテナの総量は、国際貿易の規模に対して余り気味だ。
業界団体の中国集装箱行業協会のデータによれば、世界のコンテナ保有量はコロナ禍が始まる前は約4000万TEU(20フィートコンテナ換算)だったが、2023年末時点では5100万TEUと3割近く増加した。
ガザ危機の半年前の2023年春には、中国各地の港湾に空きコンテナの山が積み上がっていたことは記憶に新しい。(訳注:詳しくは『【ルポ】中国「空きコンテナ山積み」の現場を歩く』を参照)
コンテナ船の輸送力の増強も、需給バランスの改善にプラスに働く。イギリスの海事情報会社クラークソンズ・リサーチによれば、2024年は新造コンテナ船の(海運会社への)引き渡しが集中することから、全世界の輸送力が9%増える見通しだという。
さらに、中国のコンテナ製造会社も(コンテナ不足を受けて)生産ペースを引き上げている。こうした状況を背景に、業界関係者の間では「コンテナ不足は長続きしない」との見方が多数派になっている。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は5月24日
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