【ルポ】中国「空きコンテナ山積み」の現場を歩く 仕事激減にあえぐトレーラー運転手の悲哀

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寧波舟山港の広大なコンテナヤードは、色とりどりの空きコンテナの山で埋め尽くされていた(撮影:財新記者 陳亮 ※以下の写真もすべて陳亮氏の撮影)
中国のコンテナ港は、「世界の工場」のいわば出荷口にあたる。そこに今、かつて目にしたことがない光景が出現している。海外から戻ってきた空きコンテナが溢れんばかりに積み上がり、さらに増え続けているのだ。
ウクライナ危機をきっかけに加速した世界的なインフレ高進が、欧米諸国で消費後退を招き、中国の輸出に打撃を与えたことが背景にある。コンテナ港では実際にどんな変化が起こり、そこで働く人々は何を感じているのか。現場を歩いた『財新』の写真ルポをお届けする。

 

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浙江省の寧波舟山港は、コンテナの年間取扱量が3300万TEU(20フィートコンテナ換算)を超える中国最大級のコンテナ港だ。なかでも同港の「北侖港区」は、広大な埠頭に多数のガントリー・クレーンが立ち並ぶコンテナ輸送ビジネスの中心地である。

2023年3月上旬、北侖港区を訪れた財新記者の目に飛び込んできたのは、色とりどりのコンテナが港区内に溢れ、積み上げられた高さが6~7段に上っている光景だった。

6段を超えて積み上げられたコンテナは、すべて「空き箱」であることを無言で語る

これらはすべて貨物が入っていない「空き箱」だ。なぜなら、貨物が入ったコンテナは(重量上の制限で)5段までしか積めないからだ。

トレーラーの半数が休眠状態

北侖港区には「横舗車場」と「北侖集運基地」という、コンテナ・トレーラー専用の巨大な駐車場がある。そこには、運ぶべきコンテナがなく開店休業のトレーラーが約3000台もひしめいていた。

埠頭近くの巨大な駐車場には、開店休業のコンテナ・トレーラーがずらりと並ぶ

「49台のトレーラーは、49人のドライバーの生活を支えているんだ。それなのに、今日の受注は22箱しかなかった」。コンテナ物流会社の天旭国際物流を経営する豆中旭さんは、そう言って溜息をついた。彼の会社は、北侖港区に軒を連ねる約4000社の中小物流会社の1つだ。

豆さんは駐車場に置いた擦り切れたビジネス・チェアーに身を沈め、日なたぼっこをしていた。彼の会社のトレーラーは、ほぼ半数が休眠状態だ。ドライバーの誰に仕事を与え、誰に与えないか。豆さんのような経営者にとって、日々の頭の痛い問題になっている。

物流会社を経営する豆中旭さんにとって、日々の仕事の割り振りは頭の痛い問題だ
次ページ運転台で寝泊まりするドライバーたち
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