日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと 陸自予算の削減、新戦闘機開発の中止、耐震改修…

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だが、陸自は防衛支出の相当部分を占めている。年度で変わるが陸自向け支出は防衛費の35~37%と頭一つ抜けている。海上・航空自衛隊はそれぞれ22~25%だ。5割以上も多い。

これは防衛費増額後も変わっていない。支出割合の発表を中止したことから、それが推測できる。政府は防衛費の増額を決めた2022年の『防衛白書』から陸海空自衛隊ごとの支出割合の提示をやめている。

陸自向け支出も従来比に合わせて増額したことをわからなくするためである。それからすれば、陸自向け支出は今なお35%前後を占めていると考えてよい。

2024年度予算の8兆円であれば3兆円以上となる。ちなみに海自・陸自向けは2兆円に満たない。その1.5倍以上を消費している。

戦車や野砲は対中抑止力になりえない

戦車と野砲の発注増も大幅な増額を示唆している。2024年度予算では、10式戦車10輌と19式軽自走砲16門で合計26輌・門を発注する予定となっている。これは2020、2021、2022年度予算の平均13輌・門の2倍だ。当然だが、どちらも中国対策とはならない兵器である。

この陸自向けの支出を抑えればどうなるか。陸自支出を従来額に戻す。または従来よりも節約する。さらには陸自の組織規模ごと縮小すればどうなるのだろうか。

中国対策と防衛費抑制を両立できる。海空戦力を増強しながら防衛費の引き下げも可能となる。

2024年予算に当てはめれば、6兆円代まで圧縮できる。陸自関連支出の割合を今までと同じ35%と推定すれば3兆円である。それを従来額の1.8兆円に戻すだけで防衛費は8兆円から6.8兆円になる。海空と同等額の1.2兆円とすれば6.2兆円となる。

将来的に組織整理を進めれば、陸自向け支出は1兆円以下まで圧縮できる。たとえば、陸自14万人を7万人まで絞れば、従来と同様の支出をしても0.9兆円で済む。

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