3つ目は、耐震改修を取りやめることだ。防衛省は大規模な耐震改修事業に着手している。その額は24年度だけでも3200億円に及ぶ。これは不要な事業だ。当然だが中国対策ともなりえない。
こう言えば、突飛な話に聞こえるかもしれない。確かに自衛隊の建物は老朽化しており、耐震性も確保できていない。そのような内容の報道は多い。
自衛隊施設の耐震改修も不要
しかし、やめても大した問題はない。隊員が勤務している建物に関しては耐震性は確保済だからである。
耐震性が疑わしい建物も、確かにいくつか残っている。戦争中や戦後の進駐軍向けに作った木造建築は危険である。ただ、勤務場所としては使っていない。武道場や、不要品をしまう物置に使う程度だ。
このような建物は、本来は存在してはいけない幽霊物件だ。いずれも鉄筋コンクリートで建て替える際には取り壊す予定のものだった。それを「もったいないから」と残しただけだ。
しかし、そのような幽霊物件に2024年度には3200億円もの予算をつけている。老朽化と耐震対策の名目だが、実際には防衛費を使い切れないためだろう。
今の防衛費は防衛産業の生産力を超えている。武器弾薬の買い増しを理由に従来の5兆円から7~9兆円まで増やしたが、工場の生産規模拡大は防衛費増額に追いついていない。
そのため防衛施設産業、つまりは建設業への発注増で予算の使い切りを狙った形である。だからこそ、中止しても差し支えはない事業なのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら