山中に違法な繁殖場「悪徳ブリーダー」偽装の手口 問題業者を野放しにするなら法改正も意味ない

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環境省の動物愛護管理室は「ブリーダーなどの関係団体に法令順守を要請する」としていますが、出生日偽装は数値規制案の段階からある程度予想されていて、「数値で規制するだけでは何も変わらない」「悪徳ブリーダーはさまざまな法の抜け道を考えるにちがいない」との意見も多くありました。

出産回数やスタッフの数をごまかしているブリーダーについては、こんな事例もあります。

ケース3:無登録のブリーダーから子犬を仕入れている

無登録で犬を繁殖している人から安価で子犬を仕入れ、自分が繁殖した子犬に混ぜて販売しているブリーダーがいる。ブリーダーは「数値規制で母犬の生涯出産回数が6回と限られたため、1回の出産でより多くの利益を上げるためにやっている」と話していた(神奈川県で第1種動物取扱業を営むIさん)
ケース4:猫以外の動物の世話をするスタッフも従業員としてカウント

猫だけでなく、ほかの動物も繁殖をしているブリーダーがいる。実際に猫の飼育に関わっている従業員は3人なのに、約150匹の猫を飼育している。3人なら75匹までしか飼育できないが、他の動物の世話をするスタッフも猫の世話をする従業員としてカウントしているため、飼育が可能になっている。
これは法の抜け道。当然、手が足りていないので、猫の飼育環境は良くない。病気の子もたくさんいる(千葉県で第1種動物取扱業を営むSさん)

これらのケースは氷山の一角です。

悪徳ブリーダーはさまざまな法の抜け道を考え、のうのうと営業を続けています。

しかも、こうしたことを同業者が知っていても、「仲間を売るようで言いづらい」と名前を公表したり、自治体などに通報したりすることはまれです。この隠蔽体質こそ、悪徳ブリーダーがのさばる要因になっているのです。

自治体の対応に大きな格差

一方で、自治体に通報しても、状況の改善には至らないケースも少なくありません。

動物愛護管理法では、都道府県などは第1種動物取扱業者に対し、勧告、措置命令、業務停止、登録取り消しを命令できるようになっています。

複数回指導して改善されない場合は勧告を行い、それでも改善されなければ措置命令、続いて業務停止や登録取り消しを行います。立ち入り検査などを拒否された場合は、警察と連動して立ち入ることもあります。

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