太陽光、風力発電に熱視線、リスクあるところ保険あり

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風力発電施設にかかわる保険は、損害保険会社が個々のリスクに応じてプランを設計するが、日本興亜損害保険が日本風力発電協会の会員企業に提供する「風力発電施設総合損害保険制度」など専用商品もある。

ただ、再生可能エネルギーの最大の敵は自然そのものかもしれない。太陽光発電システムを導入しても、曇りや雨の日が続けば発電できないからだ。そうした発電量の減少リスクを補償するのが「天候デリバティブ」という金融商品で、これも損害保険会社が取り扱う。

太陽光発電システム販売の高島は損保ジャパンと天候デリバティブ契約を結び、販売店を通じてシステムを購入した顧客に「ホームエコお天気補償」を提供。気象庁アメダスなどのデータ分析から、1年間の日照時間が事前に約定した基準日照時間を下回った場合に、1時間当たり100円、年間最大5万円までの補償金を支払う仕組みだ。「太陽光発電の導入を迷っている人の背中を押すサービス」(損保ジャパン・企業商品業務部リスクソリューショングループの西野大輔課長代理)。

一方、風力発電では各地の風速のデータが取りにくいため、保険の商品化が難しい。気象指標の取得が今後の商品開発のカギといえそうだ。

保険業界はさまざまな側面から再生可能エネルギーの普及を支えている。今後焦点になるのが震災で大きな被害を受けた東北の復興。「メガソーラーを活用した復興の動向を注視し、われわれがどう貢献できるか研究している」(三井住友海上火災保険・商品本部火災新種保険部企画チームの鈴木修一課長)。

東日本大震災復興構想会議の復興7原則には「再生可能エネルギーを活用した地域の建設」が盛り込まれ、エコタウン構想なども出ている。保険会社の出番は多そうだ。

(週刊東洋経済2011年7月30日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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