太陽光、風力発電に熱視線、リスクあるところ保険あり
昨年、世界有数の規模を誇る再保険会社の担当者が日本の損害保険会社を訪問していた。
「海外で実績がある太陽光発電メーカー向けの性能保証保険を日本で展開することを考えている。ご協力いただけないでしょうか?」──。
再保険会社の名前はドイツに本社を置くミュンヘン再保険。北アフリカの砂漠に大規模な太陽熱発電所を建設し、欧州や中東などに電力を供給する「デザーテック(DESERTEC)」プロジェクトで中心的役割を果たすなど、再生可能エネルギー分野での取り組みに力を注ぐ。
同社が中国・米国・フランスなどの太陽電池メーカーに提供している性能保証保険は、経年劣化も含めて出力性能を最長20~25年保証するというもの。主に太陽光パネルの修理・交換費用などの損失を補償する。
海外では同社の元受け保険部門が直接、メーカーと保険契約を結ぶケースもあるが、日本では国内の損害保険会社がメーカーと保険契約を結び、同社がその再保険を引き受けるスキームだという。
日本では東日本大震災以後、“脱原発”気運が高まり、再生可能エネルギーが大きく注目されている。地球温暖化の観点からも、太陽光や風力は新しいエネルギーとして期待が高まる。国内では一般家庭でも太陽光パネルの設置が増える一方、一般企業もメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設を表明している。
メガソーラー建設は投資額が数十億~数百億円規模になり、太陽光パネルを万単位の数、設置するケースもある。稼働後の出力低下などのリスクが保険で軽減できれば、事業にも参入しやすい。また、保険の付保がその事業の信用につながり、融資や投資を引き出しやすくなるといったメリットもある。