太陽光、風力発電に熱視線、リスクあるところ保険あり
家電量販店などで家電を購入した際に付ける延長保証などと同じ仕組みで、太陽電池メーカーや販売店もユーザーに対して「無償修理」などの保証を付けている。この保証を裏で支えているのが損害保険会社だ。メーカーと保険契約を結び、損害額を補償している。もちろんメーカーや販売店が保険のバックアップなしに、リスクを保有することもある。
損害保険会社が提供する瑕疵保証責任保険の期間は5年間、長くても10年程度という。しかも経年劣化による部品交換や消耗品交換は、保証の対象外となるケースが多い。
「むしろメーカーが心配しているのは、製品自体の瑕疵ではなく、太陽光パネル設置にかかわる作業上の瑕疵だ」。こう指摘するのは、東京海上日動火災保険・企業商品業務部責任保険グループの佐山茜子課長代理だ。
地球環境への配慮や節電意識の高まりなどから、太陽光パネルを設置する一般家庭は増えている。太陽光発電協会の発表によると、2010年の太陽光電池の出荷量は106万キロワットで、そのうち住宅用は86万キロワットと8割を占め、前年比1・6倍となった。
だが工事の際に誤って屋根に穴を開けたことにより雨漏りしたり、パネルがずれたりするトラブルが多いという。急増する需要に対して取り付け工事をする工務店など業者側の技術レベルが追いついておらず、作業上の瑕疵はメーカーのブランドイメージを毀損しかねない。
住宅リフォームの際の瑕疵に対しては、国土交通省が指定した保険法人(民間保険会社とは違う)が提供する「住宅リフォーム瑕疵担保責任保険」など国の保険制度がある。
同制度では太陽光パネル設置の際の瑕疵も補償されるが、雨漏りなどのトラブルが増えていることを受けて、「太陽光パネル設置に対応した新しい保険制度の構築を検討している」(国土交通省住宅局・住宅瑕疵担保対策室の山口宗久課長補佐)。
再生可能エネルギーと東北復興も後押し
普及への課題は太陽光に限ったことではない。風力発電に関しても新しいリスクが生じている。「いちばんの問題は風車の騒音。近隣住民から苦情の出るケースが想定され、自治体などでは賠償責任保険のニーズが高まっている」(東京海上日動火災保険・企業商品業務部責任保険グループの小松利彰課長)。