②「Win-Win」
「Win-Win(お互いにとっていいことを目指しましょう)」というキーワードがあります。耳障りがよく、グローバルでも通用するワードと考えられています。ところがこの言葉は非常に抽象的で、かえって話が進まなくなることがよくあります。意見が対立しているミーティングや商談の席では、なおさら使わないほうがいいでしょう。「ここはWin-Winでいきましょう」と気を利かせたつもりでも、相手には逆効果です。
本当にデキる人は「Win-Win」なんかでごまかしません。具体的に自分のニーズを伝えて、相手のニーズを知ろうとします。「私たちは◯◯を目指していて、今回こういうお願いをしています。そちらは□□を目指していらっしゃると思います。お互い目標に近づける方向で調整できればと思っています」と具体的に伝えたほうが、話を聞いてあげようという気になりませんか。
③「Yes or No?」
そして「Yes or No?」です。「ではどうしたらいいですか」や「AとB、どちらを取るのですか」というような発言も同様です。このように、相手に答えを強要するコミュニケーションでは、話し合いはうまくいきません。
本当にデキる人は答えをズケズケと求めません。「How do you think?(あなたはどう思いますか?)」と相手の考えを引き出します。「この課題を解決するにはAやBの方法があると思います。~さんはどう思いますか?」と、自分の考えを伝えて相手に「どう思うか、どう考えるか」と意見を出し合い、聞き合う雰囲気をつくると、話し合いが前向きで活発になります。
なんちゃってデキる人の口ぐせは、「自分は相手より優れている」という勘違いから生まれているように思います。ビジネスの現場では、自分が相手より優れているかどうかよりも、相手を動かせるかどうかが重要になります。相手を認めて率直に問いかけ、自然とみんなが意見を出し合える空気づくりが、本当にデキる人のコミュニケーションなのです。
本当にデキる人のコミュニケーションとは
海外の人と仕事をしているときに、気づいたことがあります。英語へのコンプレックスのせいか、日本人には会話を膨らませるのが苦手な人が多くて、そんな人たちは「Yes or No?」のように、相手にズバズバ答えを迫る会話を多用していたのです。こうしたコミュニケーションは、言葉や価値観が違う人との対話で苦労した人たちが見つけた、ちょっと歪んだソリューションなのかもしれません。
日本でも海外でも本当にデキる人とは、言葉の上手下手には関係なく、率直に自分の考えを伝えて相手の意見を引き出せる人たちです。世界中で一流のデキる人と仕事をしてきたこの女性の一言には、そういう意味が込められているのかもしれません。
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