原宿に爆誕「ハラカド」訪れた私が呆然とした理由 「センスのいい若者」を呼び戻す野心に満ちている

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私が行ったときも、そこに人種を問わず、さまざまな人が座って、話したり、スマホをいじったり、ぼんやりしていた。なんだか、こういう空間はいいなあ。

さらに驚いてしまったのが、屋上庭園にあるテーブルだ。座ることはできないのだが、実は至る所にコンセントがある。

ハラカドの屋上の写真
充電可能な場所も。東急不動産から、若者への電気代のお布施…とかなのだろうか?(筆者撮影)

すごい、便利。いつも行っちゃいそう。人々が都市の中で滞留するときに、重要な要素の1つになっているのが、「充電できる場所」の存在だ。これは世の真理だが、スマホの充電はすぐに無くなる、のに、私たちは生活のほとんどをスマホに頼っている。だから、充電する場所は、重宝する。

しかも、ハラカドのここは、無料なのだ。若い人にとっては、一種の桃源郷のような存在だといえる。

なんといいますか、全体としてまとめると、「余白が多い」「余裕がある」ということを感じる空間だった。その点では、担当編集が言っていた「貴族の遊び」はある意味では当たっているといえる。

「貴族の遊び」は何をもたらすのか?

実は今書いてきたような特徴は、特に、現在の若い人々が都市の中で行き当たっている問題を解決してくれているともいえる。

このところ私は、若い人の行動や、あるいは都市の様子を眺めながら、「せんだら需要」という言葉を提唱している。これは「1000円でだらだらできる場所に対する需要」のことで、例えば、カフェなどが流行しているのは、この一つの現れだと書いた。特に都心では、「せんだら」できる場所が減っていて、もっとも手軽な「せんだら」消費ができる場所としてカフェが選ばれているのではないか、という仮説だ。

ハラカド内部の写真

短期的な収益よりも、まずは若者を呼び寄せて文化の発信地にする。収益はその後に考える……そんな姿勢が感じられる(?)コンセントの多さである(筆者撮影)

興味深いのは、ハラカドはこうした「せんだら」需要に確かに応えるものだということだ。4Fの広場もそうで、全体として座る場所が多く、そこで無料で時間を潰すことができるし、なんならスマホの充電をすることもできる。

その意味で言えば、こうした「貴族の遊び」は、ハラカドに若い人を呼び込むことになりそうだ。

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