さて、中教審が打ち出した教員不足解消策に話を戻そう。
提言された方策はいろいろあるが、「骨太方針2024」と関わる最大の焦点は、残業代を支払わない代わりに教員に一律支給する「教職調整額」である。
教職調整額は現在、給与月額の4%が追加して支払われている。4%にしたのは、1966年時点での教員の平均残業時間が月約8時間だったことが根拠となっている。
いまや月8時間で済まない残業、残業代を4%から10%に
しかし、現在の教員は多忙で、平均残業時間は大幅に増えている。これが、東洋経済オンラインの拙稿「人手不足のブラック職場『官僚と教師』の共通点」でも述べたように、教員がなり手不足に陥るほどに多忙化しているという認識につながっている。
そこで浮上したのが、教職調整額の引き上げだった。中教審は、教職調整額を現行の給料月額の4%から10%以上に一律に引き上げることを提言した。単純化していえば、教員のみなし残業代を一律に増やそうというわけだ。
教職調整額を10%にまで引き上げるとなると、追加予算が必要である。盛山正仁文部科学相が明らかにしたところによると、国が支出する額は少なくとも720億円増加し、自治体負担分を合わせた増加額は全体で2160億円となるという。
720億円というインパクトは大きい。2024年度当初予算で国が負担する教員人件費(義務教育費国庫負担金)は、対前年度比で412億円増えた。それは、小学校高学年における科目担任制や小学5年生で35人学級を実施することで教員を増やすための人件費、現下の賃上げに即した教員の昇給を含んでの予算増額である。
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