たとえば働きすぎがたたって、体調を崩したり、心の病になったりする人が増えています。また食べすぎ、飲みすぎがたたって生活習慣病を招く人がなんと多いことか。
そんなふうに心身の健康を損なわないためには、「もう少しがんばれるけど……」と物足りなく思うくらいで、がんばるのをやめるのがちょうどいい。
心身の不調を感じている人はとくに、何かの「やりすぎ」を疑ってみてください。それで「少し偏っている」と感じたら、自分自身に、「ほどほどに。ほどほどに」と声をかけましょう。
そうして「やりすぎ」を抑えながら、「ほどほど」の感覚がつかめれば、心身に負担をかけてがんばりすぎることがなくなります。
休憩時間には自然に身を置こう
人間は古来、自然の摂理に沿って生きています。人間もまた自然の一部だからです。
けれども文明の発展とともに自然が破壊されてきたことで、とくに都会の現代人は多くが自然と切り離された人工的な世界に暮らしています。それが1つの大きなストレスになって、心身の不調を引き起こしているように思えてなりません。
私たちはみんな“自然児”であることを再認識しましょう。そして休憩時間や休日には、四六時中空調のきいた部屋を飛び出し、自然に身を置くよう努めましょう。
都会であっても、一歩外に出れば、自然が息づいています。確実に春夏秋冬がくり返されています。
冬は寒さを、夏は暑さを、秋は涼しさを、春は温もりを体で感じることができます。移ろう四季を映す草木や花々に心が癒やされます。みるみる生気が漲ってくることでしょう。
自然には、私たち人間が日常的にため込んでいるストレスを吸収し、“無毒化”してくれる作用がある。オン・オフを切り替える機能がある。日々、自分のお寺を含むさまざまな庭で長い時間を過ごす私は、そう実感しています。
私たち禅僧は日常的に坐禅をしています。坐禅は心を落ち着けたり、精神を鍛えたりすることができる最善の修行。だからこそ一般の人にも、坐禅習慣を持つことをおすすめしたいのです。
坐禅は「調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)」といって、姿勢と呼吸と心を整えることを重視しています。
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