「ステージ4の膵臓がん」父が沖縄で子に見せた姿 亡くなる13日前に敢行した7日間の大移動

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そこで細山看護師が機転を利かせた。

「レストランに数人の男性グループがいて、話を聞いていると、どうやら自衛隊員さんらしいということがわかった。思い切って声をかけてみました」(細山看護師)

「皆さん、車いすの移動を手伝ってくれませんか」

細山看護師の呼びかけに、大男たちがどやどやと集まってきた。

「大変ですね。任せてください」

さすがに自衛隊員だ。リーダー格の男性が指示を飛ばすと、それに従ってキビキビと車いすの移動などを手伝う。

愛里さんは懐かしそうに当時を振り返る。

「びっくりしました。だって、まさかそんなことをお願いするとは思っていませんでしたから。でも細山さん、すごい上手なんですよ。車いすの抱え方とか、ベッドへの移乗とか、その都度適切に指示するんです。自衛隊の皆さんも、了解! みたいな感じでその通りに動いてくれます。細山さんも、自衛隊の方々も、とても頼りになりました」

ツアーナースは旅の安全と、患者の無事を担保する大切な存在だ。細山看護師が患者である秀俊さんのケアに集中しているおかげで、家族は旅を楽しむことができる。

「細山さん、沈着冷静なんですよ。何が起きてもこの人がいれば大丈夫だなって思えた。私たちの見えないところで、父が寒そうにしていたらサッと毛布をかけてくれたり。おかげで私たち家族は旅に集中することができました」(愛里さん)

沖縄での最初の2日間

無事、沖縄に到着した一行は、予約していたホテルに向かった。そこは秀俊さんがまだ元気だった頃、夫婦でハワイ旅行をした際に宿泊したのと同じ系列のホテルだった。そのホスピタリティの素晴らしさに感動し、娘たちにも体験させたいと、父たっての希望だった。

「確かに素晴らしいホテルでした。ウェルカムドリンクがとても美味しくて、長旅で疲れていた父も、うまいうまいって飲んでいました。そしたらホテルの人がおかわりを持ってきてくれて(笑)」(愛里さん)

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