理解・応用力がある人とそうでない人の決定的差 大人の脳をやる気にさせるためのすごい仕組み

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もっとすごい脳には欠かすことのできない、脳の連携プレーにも先ほどの発火が強く関係しています。目や耳から脳に情報がインプットされると、視覚系や聴覚系の脳番地が発火します。

これは、ニューロンの発火なので「ニューロナルファイアリング」と言います。この場ではわかりやすくするために、単純に「ファイアリング」と呼ぶことにします。

そして、インプットされた情報を理解系や思考系の脳番地に届ける情報伝導道路の役割をしているのが「ネットワークファイアリング」です。

つまり、脳内では、脳番地のファイアリングが起こり、ネットワークファイアリングによって情報が伝達され、また次の脳番地でファイアリングが起こり……ということが繰り返されているのです。

さらに言うと、最初の情報入力のインパクトが強いほど、ファイアリングも強火になり、ネットワークファイアリングから次のファイアリングへと伝播しやすくなります。

最初のファイアリングが強ければ強いほど、記憶としても残りやすくなります。

脳の基礎体力が足りないと発火も起こりにくい

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しかし、ここで問題になるのが、脳の枝ぶりです。日頃、あまり使っていない脳番地では枝ぶりも弱々しく、働きが落ちているためにファイアリングも起こりにくくなっています。

強いファイアリングがないとネットワークファイアリングへと繋がっていかず、そこで連携プレーが断たれます。さらに、ノロノロ運転の道路があると情報を伝える力も弱まり、ネットワークファイアリングが起こりません。せっかくインプットされた情報を活かし切ることが難しくなるのです。

脳の枝ぶりをよくしていくことは、脳番地をまんべんなく働かせて、自分にとって必要な情報を最大限に活かすことに繫がります。 そのためには、各脳番地の特性を知るとともに、それぞれの脳番地がどうしたらファイアリングをするのかをまずは知っておくことが大切です。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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