中山秀征『夜もヒッパレ』に見たプロの仕事術 安室奈美恵らと作り上げた「妥協なき華やかさ」

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この番組に出演するアーティストは皆、「人の歌を歌うからこそ」と、歌を大切にする想いが強く、渡辺真知子さん、つのだ☆ひろさん、尾崎紀世彦さんなど、レジェンド歌手の方々の圧巻の歌唱力に加えて、のちに〝アムラー現象〟を巻き起こす安室奈美恵さんら、SUPER MONKEYʼS の新人離れしたパフォーマンスも話題となり、たちまち人気番組になりました。

オンエア翌日に、ヒット曲のCDがさらに売れるという意外な相乗効果も生まれて、「ウチのアーティストの曲を、あの人に歌ってもらえませんか?」と、レコード会社からオファーがくることもあったらしいです。

バラエティのノリは通用しない

僕の役割は、三宅裕司さんとMCをしながら、ゲスト歌手のハーモニー部分を歌う"ハモラー"担当。

毎週、スタジオで、「子ども時代から憧れていた〈音楽バラエティ番組〉に出ている!」という高揚感と、「憧れの場でミスはできない!」という、ヒリヒリするような緊張感を味わっていました。

緊張感の理由は、その収録方法にもありました。

この番組はトークパートと歌パートを別々に収録する「ブロック撮り」ではなく、台本に沿ってオープニングから順番に収録する「順撮り」で行われていたのです。

OAと同じ流れのなかで高い完成度が求められる。テレビ収録でありながら、毎週、ステージショーを収録しているようなものでした。

だから「失敗も面白ければOK」というバラエティのノリは通用しません。音が少しズレたり、ダンスの振りが違っていたりすると収録は止まります。

そして、大勢の出演者やスタッフ全員が見ている中、OKが出るまで何テイクもやらなければいけないという悲惨な状況に……。やり直しができる分、この点はステージショーより過酷です。

僕の場合、ハモり部分の楽譜とテープをもらうのが、収録の2、3日前。『DAISUKI!』のロケの合間に、絶対音感をもつ松本明子さんにおもちゃのピアノで音をとってもらいながら練習をして収録に臨むことも、しょっちゅうでした。

最悪の場合、収録終わりに別室に呼ばれて、居残りで音録りなんてこともありましたし……。とにかく毎週ヒヤヒヤでした。

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