中山秀征『夜もヒッパレ』に見たプロの仕事術 安室奈美恵らと作り上げた「妥協なき華やかさ」
話が盛り上がってきた頃、「私、実はニューハーフなんです。本名は大西賢示です〜」と告白されて……。これがのちに長い付き合いになる、「はるな愛ちゃん」との衝撃の出会いでした。
「キラキラした憧れの世界で働いている!」という熱はスタッフからも感じました。
熱のある現場は活気にあふれ「新たなアイディア」が次々と生まれます。ディレクターは「どの歌番組にも負けない!」と、斬新なカット割りを考え、カメラマンもその熱意に応えようとします。
忘れられないのが、当時、まだ珍しかった女性カメラマン。小柄な彼女は、新人なのに抜群のフットワークで、ハンディカメラをぐるぐる回しながら出演者にドリーイン(近づいて撮影)するといった「新たなワザ」を次々と生み出していました。
一方で、谷啓さんの「ガチョーン」のズームイン・アウトを手動で撮ったという大ベテランが、クレーンの職人芸を披露したり……。ステージ上と同じく「画作り」でも、レジェンドと新世代とが切磋琢磨する相乗効果がありました。
スタジオの中に、それも、映らないところにBarを作ってバニーガールまで配置するなんて、まだバブルの残り香があった時代だからこそできた芸当で、今なら「制作費の無駄遣い」と一蹴されるかもしれません。
ただ、これも"憧れの華やかな世界"にこだわったからこそのポジティブな無駄で、現場の意思統一や、活気を生み出す効果があったのも事実です。
いまや、テレビを取り巻く環境は大きく変わりました。
でも、魅力的なコンテンツは"憧れ"を感じる現場から生まれるというのは、時代に左右されないエンターテインメントの原則なのではないかと、僕なりに最近考えたりするのです。
大物になると予感させたアーティスト
『THE夜もヒッパレ』からは、MAX、知念里奈さん、SPEEDといった沖縄アクターズスクール出身の新人たちが、次々とスターになっていきました。
中でも、番組初期にブレイクし、一気に時代の頂点へ駆け上がったのが、安室奈美恵さんです。
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