中山秀征『夜もヒッパレ』に見たプロの仕事術 安室奈美恵らと作り上げた「妥協なき華やかさ」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「秀ちゃんの注目ボード」というコーナーを一緒に担当していたこともあり、「あの安室ちゃんの新人時代って、どんな感じだったの?」と聞かれることも多いのですが、もう、最初から「別格」でした。

はじめてSUPER MONKEYʼSのパフォーマンスを見たときは「衝撃」の一言。まだ大ヒット曲こそありませんでしたが、歌もダンスもあの時代では群を抜くクオリティでした。

特にセンターの安室さんを見た共演者・スタッフの多くが「とんでもない大物になる」と"確信に近い予感"を興奮気味に語っていたのを覚えています。

安室奈美恵さんの天才的な「間」

実は彼女は「トークの天才」でもありました。といっても「しゃべりで笑いを取ってやろう」なんて野心は1ミリも持っていません。彼女の"何気ない一言"になぜか笑ってしまうのです。

たとえば「安室ちゃん、今日は何で来たの?」と聞くと「電車!」と返してくる。文字にするとなんてことはないこのやり取りも、彼女の"間"が抜群だから思わず笑ってしまいます。

いばらない生き方 テレビタレントの仕事術
『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』(新潮社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

しかも最後に、「ヒデちゃ〜ん、東京の地下鉄って複雑すぎてわかんないよ〜」なんて一言を加えるだけで、その言葉が、なぜか立派なオチになってしまうのです。

しゃべりの"間"が面白いのは、ミュージシャン特有のスキルなのかもしれません。ただ彼女は、その"間"が「天才的なレベル」でした。

しゃべらないで、「んー」と言っているだけでも周りが彼女に期待し、次の発言が待ち遠しくなってしまう。

そんな能力を傍で感じていたので、本番で突然、安室さんにオチのセリフを任せる、なんてこともよくやっていました。

彼女はヒヤヒヤしていたかもしれませんが、僕や他の出演者、スタッフにも「安室ちゃんなら、いつ何時、どんな話題を振っても大丈夫」という安心感があったので、台本通りではなくてもカットされることはほぼありませんでした。

突然振られて応える安室ちゃんの一言にスタジオ中が大爆笑、そこにDJの赤坂泰彦さんがカットインして……。天才的で唯一無二の、不思議な魅力の持ち主でした。

安室さんも、MAXも、安室さんの後を引き継いだ知念さんも、皆さんに共通していたのは、歌とダンスはハイレベルなのに、感覚はいつまでも素朴で自然なところ。

僕のことも「芸能界の先輩」というより「近所のお兄ちゃん」くらいの感覚で接して、いつでも「ヒデちゃん、ヒデちゃん!」と呼んで慕ってくれていました。「ずっとテレビで見てたし、ヒデちゃんは『ヒデちゃん』なんだよね!」と。

どんなに売れっ子になっても業界ズレしない彼女たちの"自然な振る舞い"は、時に緊張感も漂うスタジオの空気をいつも和ませてくれました。

実は、楽しい番組を作るためにムードメーカーは欠かせない存在です。彼女たちの振る舞いも、立派な「プロの振る舞い」だったと感じています。

「ヒッパレ」で学んだ明るく生きるヒント
(出所:『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術 』をもとに東洋経済作成)
中山 秀征 タレント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかやま ひでゆき / Hideyuki Nakayama

1967年群馬県生まれ。松野大介とのコンビ「ABブラザーズ」でデビュー。コンビ解消後1992年より『DAISUKI!』(日本テレビ系)の2代目MCとなる。以後『ウチくる!?』(フジテレビ系)や『おもいっきりDON!』『シューイチ』(共に日本テレビ系)など、多くの番組のMCを務めるほか、俳優、ラジオパーソナリティなど多方面で活躍中。私生活では元宝塚の白城あやかとの間に4人の子どもを持つパパとしても知られる。ワタナベエンターテインメント所属。Facebookページはこちら

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事